重症患者にアルブミンを投与すべきか・・・アルブミン投与がだめという結論に反証・・・SAFE study
2004年 05月 28日
重症患者に、クリスタロイドかコロイドか・・・という命題は十数年の議論ということです。
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クリスタロイド(crystalloid):晶質
コロイド(colloids):膠質
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という表現でこの議論が普通です。
晶質としては食塩(生理食塩水だったり、時には0.45%食塩だったり、他電解質や糖質を含むものだったり・・)が主体です。
アルブミン製剤をどうとらえるか?単にコロイド治療として考えるか?・・・私にはわかりませんが・・・
Albumin Databaseなんかはこの問題に かかりきり のようです・・・
火傷治療について熟知していない統計学者はデータを評価すべきでないというのは、一般化すれば専門医療を熟知してない分野の一方的な統計解析は慎重であるべきということになります。これは胸につまされます。
<ひとりごと>WHO薬籠日本語訳なんてそんなんばっかりですし・・ひとりごと>
さて、そうはいっても救急医療はどの分野でも一緒で、かつ輸液に関しての知識は必要ということで・・・
SAFE study(The Saline versus Albumin Fluid Evaluation)が発表になっております。 ↓
NEJM Volume 350:2247-2256 May 27, 2004 Number 22
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重症患者ではアルブミン投与や食塩投与が通常行われているが、どちらかが優れているというのはまだ不明。
ランダム化にて6997名の患者対象で、3497アルブミン、3500食塩投与割付
アルブミン投与群726名死亡、食塩729名死亡(RR 0.99; 95%CI 0.91 to 1.09; P=0.87)
1臓器と多臓器不全の比率は同様(P=0.85)。ICU滞在日数(6.5±6.6 in the albumin group and 6.2±6.2 in the saline group, P=0.44)、入院日数 (15.3±9.6 and 15.6±9.6, respectively; P=0.30)、人工呼吸日数(4.5±6.1 and 4.3±5.7, respectively; P=0.74)、腎臓置換療法(renal-replacement therapy)?(0.5±2.3 and 0.4±2.0, respectively; P=0.41)も差無し
結論:ICU患者で4%アルブミン投与と生食投与による輸液蘇生方法の28日後のアウトカムは同等
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歴史的には、ランダムトライアルでアルブミンが死亡率を増加させるというメタ分析など・・
ということで以下のレビューが有名です。
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Ref.)重篤な患者の輸液蘇生法におけるクリスタロイドとコロイドの比較 cochane review
hypovolemia、熱傷、低アルブミン血症の重症患者に対してアルブミン投与が生存率を低下させるエビデンスはない。
アルブミン投与の死亡リスクは比較群より高い
アルブミンによるプール化死亡相対リスクは1.68(95%CI 1.26-2.23)、そのプール化differenceは6%(3-9%)あるいは100名治療に付き6名の付加的死亡を生じることとなる。
緊急に、重症患者でのアルブミン投与を歳考慮すべき
図
Human albumin administration in critically ill patients: systematic review of randomised controlled trials
BMJ 1998;317:235-240 ( 25 July )
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funnel plotをみるとさほど出版バイアスなどを感じないのですが、
メタ分析の規模が小さく、古いトライアルが不一致率が多くため、SAFE study研究者たちは1)輸液蘇生が必要な患者が不均一、4%アルブミンvs 0.9%食塩の28日死亡率というのはなんなのだろうかという疑問をこのメタ分析にもっているそうで、今回にSAFE studyは患者、医師、研究者たちにblindであり、自信をもっているようです。臨床診断が上記メタ分析ではばらばら・・というのも批判の一つで
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心拍90/分以上、収縮期血圧100mmHg未満、平均脈圧75mmHg未満、inotrpesやvasopressor、特異的CVP圧、乏尿、毛細血管充填時間>1秒が、hypovolemiaの所見として必要。
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などを指標とすべきだそうで、ごもっとも。
一般的に蘇生の時は最低でも250mlの輸液(肝移植、心臓手術後、熱傷はべつ)と臨床評価がなされている。60%超が人工呼吸。平均ICU滞在は約1週間で、入院約2週間で、他の治験参加の重症度分布と一致ということらしいです。
もっとも注目したのは
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メタ分析による特異的な病態毎の解析では、crystalloidsが外傷時に他のcolloidsより死亡率が有意に低いとされていた・
SAFE studyでのサブグループ解析ではアルブミンと食塩に生存率に差がなかったが、外傷に関しては、1186名のうちアルブミンが若干死亡率増加傾向 (アルブミン群における相対的死亡リスク 1.36; 95%CI 0.99 - 1.86)、脳外傷の影響にて説明できる可能性がある(相対リスク 1.62:95%CI 1.12-2.34)。
重症敗血症の1218名の患者では、アルブミン投与が死亡率減少の可能性(0.87:95%CI 0.74-1.02)
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ということで、病態による有効性に差があることが示唆されたことです。
by internalmedicine | 2004-05-28 10:56 | 医学
