血糖変動と酸化ストレス:糖尿病のコントロール

糖尿病コントロールにおいて、血糖の変動が話題になっている。



以前から、糖負荷後 2 時間値と心血管疾患死亡率が正相関することがDECODE研究などで話題になっていた。





変動が重要と言うことで、指標なるものもで、M値などが提唱されている・・・血糖の日内変動とM値


では、その食後高血糖はどのような機序でもた らされるか・・・
Kelleyら,Mitrakouら(NEJM 22-39,1992 326) は,食後の肝による糖産生抑制が不十分なことが主な原因であり,このような糖産生抑制低下にはイ ンスリン初期分泌の低下が関与していると報告した。他、インスリン初期分泌低下と肝,筋のインスリン抵抗性の両者が食後高血糖の発症機序に関与していると考察されている。


で、今回の論文は・・・血糖の変動が酸化ストレス加速するらしい・・・とのこと


Activation of Oxidative Stress by Acute Glucose Fluctuations Compared With Sustained Chronic Hyperglycemia in Patients With Type 2 Diabetes

JAMA. 2006;295:1681-1687.

【概要】血糖関連疾患は、心血管疾患の主なリスク要因の一つであり、酸化ストレスの活性化と関連する
【目的】糖尿病患者における慢性の持続性の高血糖と急性の血糖の変動のそれぞれの、酸化ストレスへの関与の評価
【デザイン】
2型糖尿病における症例対照研究
【主なアウトカム】
酸化ストレス、遊離8-iso PG F2α224時間尿中分泌推定
血糖変動(fluctuation)評価:持続性の血糖測定システム(MAGE:mean amplitude of glycemic excursions)にて
血糖不安定の食後の関与は、食後の値の増加した血糖値にて評価(mean postprandial incremental area under the curve [AUCpp])
血糖の長期的暴露はHbA1c、空腹時血糖、24時間血糖値で推定
【結果】
尿中8-iso PGF2α分泌率は糖尿病患者で高い(482[206] vs 275[85]pg/ml/cr )
単変量解析では、MAGE (r = 0.86; P<.001) とAUCpp(r = 0.55; P = .009)は尿中8-iso PGF2α分泌量に有意に相関する。
関連因子補正後も有意差がある。
【結論】食後血糖の変動(glucose fluctuation)、もっと一般的にいえば血糖のゆらぎ(glucose swing)は慢性の持続性高血糖より酸化ストレスのより特異的triggering effectを呈する。このことは、単にHbA1cや平均血糖値だけでなく、glucose swingも糖尿病介入試験において検討すべきであることを示唆する。



同じJAMAについでの論文?として、SMBG、HbA1cの評価が書かれていた。
 ↓

Assessing Glycemia in Diabetes Using Self-monitoring Blood Glucose and Hemoglobin A1c
JAMA. 2006;295:1688-1697.

【内容】糖尿病の頻度が増加するとともに、血糖のコントロールの成功がより重要となっている。自己血糖測定(SMBG)とHbA1cの利用にて血糖評価
【結果】
適切なSMBGがなされると即時に血糖値が正確に反映されることとなる。
研究結果は種々だが、一般にはSMBGは血糖コントロール改善に有効であり、インスリン治療患者では特にそうである。
SMBGのタイミングとその回数は議論のある問題であるが、治療に依存した回数、血糖の不安定さで臨床的推奨がなされるべき。
持続的な血糖モニタリングに置き換わる可能性がある。
HbA1c測定は長期血糖コントロールをみており、3-4ヶ月の時間比重測定を反映している。
HbA1C値には生理学的・方法論的寄与因子が多く存在するが、標準化が確立している。糖尿病合併症の予後推定として用いられており、HbA1c改善により合併症予防することも判明している。7%未満がその合理的な目標である。




それにしても、I型糖尿じゃなければ原則1日2回(今回から40回を超えた)測定は保険上冷遇というのはいかがなものか・・・・コストカットだけ考えているから真のコントロールとはほど遠く、結局合併症治療に関わる医療費を増大する可能性が高いと思うのだが・・・・・・実に馬鹿役人とコストカットに走る医療保険に関わる億さんたちの底の浅さ・・・

by internalmedicine | 2006-04-12 10:55 | 動脈硬化/循環器  

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