メタボリックシンドロームって・・・そんなにすごいんか?
2006年 04月 14日
メタボリックシンドロームに関しても同様で、動脈硬化関係の講演・学会でそれを聞かないことは無いくらいだし、たいていのメディアは判断能力がほとんどないためなにやら新しい恐ろしい病気ができたのかと大騒ぎ・・・
ちょっと冷静にその意味づけを考えた方がよい・・・と、British Medical Journalの編者さんたちは述べている。
メタボリックシンドロームの存在は総・心血管死亡率の推定として役立つとSundströmらは研究発表した。2300名の中年男性を研究。
喫煙・糖尿病・高血圧・コレステロールといった確立した心血管リスク要因にメタボリックシンドロームを加えることにより、40-60%のリスク増加させる。
Clinical value of the metabolic syndrome for long term prediction of total and cardiovascular mortality: prospective, population based cohort study
BMJ 2006;332:878-882 (15 April)
メタボリックシンドロームの有無による予後推定の比較
以上からみると やはり メタボリックシンドロームは、従前のリスクに加えることで、良好な予後因子となり得るっってことになる。
ところが、編者は違うとらえ方をしている。
メタボリックシンドロームを有する多くの患者はインスリン抵抗性を有するが、これが主たる原因の一つなのかどうかは不明なのである。
基礎としてある炎症や凝固系の異常(prothrombotic state)との関連に研究の焦点が移ってきている。メタボリックシンドロームの診断的価値は未だに議論のあるところである。
メタボリック症候群を示す人たちをカテゴライズすることに関心が向いていることは心血管疾患のより正確な予後推測の可能性があることである。
Sunsdstromらはこの研究に着手したが、最近の前向き研究のレビューでは、メタボリックシンドロームは心血管疾患の予後推定に関しある程度の力しか無く、メタボリックシンドロームの定義に従えば、推定総計相対リスク:1.65-1.93である。
メタボリックシンドロームのリスク予後推定の力を改善した。
喫煙・高血圧・血中コレステロール・糖尿病といった要因を考慮したところ、結果心血管リスク死亡率は1.35(95%CI 1 -1.73)から1.59(95%CI 1 -1.95)へ改善した。
(これでは、高血圧や喫煙というリスク要因に比べ、見劣りするリスク因子ということになる)
糖尿病予後推定モデルやFraminghamリスクスコアをメタボリックシンドロームと組み合わせても心血管推定の精度は改善しない。また、Framinghamリスクスコア単独に関しても改善しない。メタボリックシンドロームはFraminghamリスクスコアで説明できない部分を含む可能性がある。
臨床的にはコンピューターやチャートによりFraminghamデータ由来により心血管リスクの推定がなされているが、エビデンスを基礎とした治療をターゲットにする高リスクの人々を同定する事が心血管疾患を減らす事となるわけだが、このモデルには限界があることが知られている。
たとえば、糖尿病ではない血糖異常のリスク増加にかかわることが斟酌されていない。
臨床医はメタボリックシンドロームを有する患者を同定して、リスクとして決めつけて良いのだろうか?
若年者は10年心血管リスクを増加させない可能性がある。しかし、このグループのメタボリックシンドロームの利用法は不明である。
Joint British Society guidelineでは通常のリスク要因より広げた、心血管疾患家族歴、中心性肥満、空腹時血糖、トリグリセライドの増加を含む。
残念ながら、エビデンスがまだ不確定であり、臨床的推定としてはまだ未熟である。
メタボリックシンドロームの定義にウェスト周囲径のはかり方の規定がないので、統一化されているか不安・・・
以下の測定方法が一般的なようである・・・・参考(P12)
ウェスト周囲径測定のためには、あなたの腰回りでもっとも狭い場所で、水平にテープ状メジャーで測定すること(肥満のひとは、臍のところ)
テープ・メジャーを床に水平に保ち測定する
リラックスした呼気終末で測定すること
・・・あるMRがもってきたカタログには・・・
他のWeb情報でも同様に書かれている。
オリジナルなmetabolic syndromeとメタボリックシンドロームは腹囲測定法が異なるのだ・・・
by internalmedicine | 2006-04-14 09:28 | 動脈硬化/循環器