トランス型脂肪酸と心血管疾患
2006年 04月 17日
健康エコナも工業的な品で当然トランス型脂肪を多く含むだろうと想像される。
ところが、トランス脂肪酸の総量を3%程度に下げる努力もしているという回答・・・なんて一企業側の肩をもつ 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会というのはBSEの委員会と同様はじめに結論ありきで、とても恣意的
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その結果
高濃度にDAGを含む特定保健用食品の許可にあたっては、薬事・食品衛生審議会において安全性と有効性が確認され、食品安全委員会においても安全性審査は妥当としています。
などと、結論じみたことを書いている・・・これってあまりに軽薄ではないか。
・・・・諸外国おいて、DAGは種々健康問題に対してかなりグレーなのである参考Blog。結論を急ぐ理由は単にメーカーの影響に過ぎないとかんぐらざる得ない。
ところで、トランス型脂肪酸に関してNEJMでその危険性が解説されていた。
Trans Fatty Acids and Cardiovascular Disease
NEJM Volume 354:1601-1613 April 13, 2006 Number 15
in vitroからの実験データ・食事介入トライアル、前向き研究によると、一部hydrogenated oil(硬化油:http://moldb.nihs.go.jp/jp/scripts/name_exact_e.asp?name_e=Hydrogenated%20Oil)からのトランス型脂肪酸は栄養学的に価値が無いどころか、有害性の危険すらある。
食事からの硬化油を除隊する試みが料理店や食品メーカーでなされているが、米国外の経験だと、コストをかけずに、食事の質や利用しやすさから、シス型の不飽和脂肪酸に置き換わる事がなされている。
医療従事者はトランス型脂肪酸を含む製品を最小化する方法を消費者にアドバイスし、消費者はトランス型脂肪酸を含む食品がどれであるか認識し、それを避けること、消費者は食品メーカーは代換的な食製品や食成分を選択すべき
トランス型脂肪酸の消費量を減少させることは、米国内においては毎年数千ものCHDイベントを避けることとなるだろう。
トランス型、不飽和脂肪酸はマーガリンや商用クッキング、工場での製造過程により少なくとも一つのtrans型結合を含むものであり、植物油の部分hydrogenation(水素付加)により半固形化する過程によるものである。
食品製造業にとって、hydrogenated(水素添加)植物油は魅力的である。なぜなら、保存期間が長く、調理上deep-fryingで安定し、半固形であるが故に焼いた食品やスウィーツに利用しやすい。
US内でのトランス型脂肪酸の平均消費はカロリーの2-3%で、摂取源としてもっとも多いものはdeep-friedファーストフード、ベーカリー、包装されたスナック食品、クラッカーである。
自然に生じたトランス型脂肪酸は比較的少量で米国内では0.5%程度で、牛・羊・反芻動物からの肉類や乳製品に含む。反芻により胃内のバクテリアにより生じるものであり、FDA規則として2006年1月1日から全て通常の食品・サプリメントにトランス型脂肪酸の表示を求めた。(http://www.fda.gov/oc/initiatives/transfat/)
農業部門では食事ピラミッド型ガイドラインを推奨(http://www.health.gov/dietaryguidelines/dga2005/document/)
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専門委員会(Dietary Guidelines Advisory Committee)は、トランス型脂肪酸の摂取はエネルギー摂取の1%未満にすることを心がけるよう指導。
デンマーク・カナダでは食品中からの工業的産生トランス型脂肪酸の除去を法制化する動きがある。
これらの行動はいずれもトランス型脂肪酸の摂取が冠動脈疾患リスクを増加させるというエビデンスに基づいたものである。
【脂質】
トランス型脂肪酸の影響は通常の食事トライアル・メタアナリシスにて明瞭化した。LDL値増加、HDL低下、総コレステロール/HDL比増加にてHCDリスク増加と明らかに脂質状態を悪化させる。
【炎症促進】
TNFシステムの活動性増加と関連。BMI高値例にてトランス型脂肪増加にてIL-6、CRP増加。心血管疾患を有する患者において、トランス型脂肪酸のmembrane level(トランス脂肪摂取マーカー)は独立して全身性の炎症性反応増加と関連。IL-6、TNF-α、TNF受容体、単球chemo-attractant protein
ランダムトライアルでも炎症性反応悪化の報告有り、高コレステロール血症患者において、培養単核球IL-6、TNF-αは大豆-マーガリン食(全エネルギーの6.7%)と大豆オイル食(全エネルギー中 0.6%)で比較して増加が見られた。IL-1βは有意差無し。他のトライアル5週にて、IL-6、CRP高値。
炎症の存在は独立した動脈硬化のリスク要因。
【血管内皮機能】
トランス型脂肪は血管内皮機能悪化、sICAM、VCAM、E-selectin増加と関連。
【他の影響】
血中paraoxanase活性減少、HDLコレステロールと関連する
インスリン感受性低下と関連が示唆
【CHD】
カロリーあたりの研究で、全エネルギーの1-3%の比率の量でCHDリスクが明らかに増加。
前向き研究のメタアナリシス(14万人)では、2%地度で23%(pooled 相対リスク 1.23:9%CI 1.11-1.37 P<0.001)のCHD頻度増加
・・・原文はいろいろあるが、気づいたところだけ抜粋
by internalmedicine | 2006-04-17 14:28 | 動脈硬化/循環器