CARISMAになれなかったclopidogrel


冠動脈疾患の症例に対するアスピリンと抗血小板薬clopidogrelの併用療法で、冠動脈疾患の総死亡リスクが減少することが報告(動脈疾患に関する4つの大規模臨床試験(CREDO、CURE、CLARITY-TIMI 28、COMMIT)についてメタ分析)

とは異なり、効果否定的な論文


CARISMA(Clopidogrel for High Atherothrombotic Risk and Ischemic Stabilization, Management, and Avoidance)研究というらしいが、対象者を広げてしまったため、効果が今ひとつで・・・むしろ有害性が目立ってしまっている。
・・・結果的に考えれば、いったい何をしたかったんだ?


プラビックスは、上市近しのはず・・・アベンティス ファーマにとっては冷や水か・・・

(それにしても第一製薬は・・・)

Clopidogrel and Aspirin versus Aspirin Alone for the Prevention of Atherothrombotic Events
NEJM Volume 354:1706-1717 April 20, 2006 Number 16
http://content.nejm.org/cgi/content/short/354/16/1706

【要旨】
clopidgrel+低用量アスピリンは動脈硬化イベントの高リスク群患者に対する研究されてない。
心血管疾患やmultiple risk factorを有する15603名をランダムに、clopidogrel(75mg/日)+低用量アスピリン(75-162mg/日)とプラセボ+低用量アスピリンに割り当て
メディアン28ヶ月にて効果判定を行う。
プライマリ・エンドポイントは心筋梗塞、卒中、心血管疾患の死亡である。

clopidogrel+アスピリン:6.8%
プラセボ+アスピリン:7.3%
相対リスク(RR):0.93 (95%CI 0.83-1.05)


セカンダリ有効エンドポイント(虚血性イベントによる入院)の期待rateは、
16.7% vs 17.9%で、RR 0.92(95%CI 0.86-0.995 P=.04)

重症出血rateは、1.7% vs 1.3% RR 1.25(95%CI 0.97-1.61 P=.09)

multiple risk factoを有する患者のプライマリ・エンドポイントrateは
6.6% vs 5.5% RR 1.2(95%CI 0.91-1.51 P=.20)

心血管疾患による死亡率はclopidogrel使用の方が高い 3.9% vs 2.2% P=.01

臨床的に明らかな動脈硬化血栓症のサブグループでは、6.9% vs 7.9% RR 0.88 95%CI 0.77-0.998 P=0.046



効果に関してnegativeな研究結果というのもちゃんとpublishすることは治験するほうの義務と思われ、この論文自体は価値あるもの

ちんけな数の治験で、ポジティブデータだけ出版されては公益に反するわけで、そんなのばかりの宣伝を聞いていると頭が悪くなるということを自覚できない医者も問題

by internalmedicine | 2006-04-22 09:26 | 動脈硬化/循環器  

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