コーヒーの心血管系の悪影響:一応 否定的

「・・・・は体にいい」といった短絡的なものから、専門用語を連ねた難しい説明まで、現代人の健康への不安を穴埋めするかのごとくおびただしい量が氾濫してはいますが、不正確なものがほとんどです。

遺伝子発現から試験管内、はたまた大規模疫学調査まで医学・健康情報の洪水の中、メディアというのは、情報発信者の意図により情報の表現が左右されます。

2型糖尿病にお茶やコーヒーがよいという情報の次の日に、コーヒーの心血管疾患への副作用が疑われて行われた大規模疫学研究の医学論文発表。・・・メディアはどう扱うか・・・まぁほとんど無視か、改ざん的報道がなされるか?

“糖尿病予防:日本茶6杯かコーヒー3杯、毎日飲んで”のところで触れたが、コーヒー消費量は重度冠動脈疾患リスクの増大とは関連を大いに疑われている。

そこで、以下の、文献発表・・・



Coffee Consumption and Coronary Heart Disease in Men and Women. A Prospective Cohort Study
(Circulation 2006, doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.105.598664)

長期的習慣性のコーヒー消費と冠動脈疾患(CHD)の関連を調査
前向き、44,005名男性、84488名女性(心血管疾患・癌既往なし)
男性1986年、女性1980年初回評価2-4年毎調査
男性:CHD 2173件(1449非致死性心筋梗塞、724致死性CHD)
女性:CHD 2254件(1561非致死性心筋梗塞、693致死性CHD)


<1 cup/mo 1 cup~ 4 cups/wk
5 ~ 7 cups/wk
2 ~ 3 cups/d
4 ~ 5 cups/d
>=6 cups/d

とわけたところ、


男性において、年齢・喫煙・他のCHDリスク要因補正後RR
1.0、 1.04 (95%CI 0.91 ~ 1.17)、 1.02 (0.91 ~ 1.15)、 0.97 (0.86 ~ 1.11)、 1.07 (0.88 ~ 1.31)、 0.72(0.49 ~ 1.07; P for trend=0.41)

女性では
1.0、 0.97 (0.83 ~ 1.14)、 1.02 (0.90 ~ 1.17)、 0.84 (0.74 ~ 0.97)、 0.99 (0.83 ~ 1.17)、  0.87 (0.68 ~ 1.11; P for trend=0.08)

喫煙状態・アルコール摂取・2型糖尿病、BMIで補正しても同様

最近のコーヒー消費を調査しても影響はなかった。

【結論】このデータでは、コーヒー消費がCHDリスクを増加させる証拠にはならなかった

by internalmedicine | 2006-04-25 10:04 | 動脈硬化/循環器  

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