TSH上限値
2006年 05月 06日
加齢学会でなく、抗加齢学会・・・加齢を研究することでなく、加齢と戦う学会
"アンチエイジング(抗加齢)医学とは、従来の医療が対象にしていた「病気の治療」から、「健康な人のさらなる健康」を指導するプラスの医療で、究極の予防医学。元気に長寿を享受することを目指す理論的・実践的科学"
と、御大層なのだが、その内容は抗酸化作用、ホルモン補充療法などが主体のようである。いづれも、理論や試験管内ではその立場は立派なのかもしれないが、臨床的に意義があるのかさえはっきりしてないものが多い。
Google Scholar検索をすると、Quack Problem、Legal Problemが検索される。成長ホルモンに関して問題が生じている。
で、何が言いたいかというと・・・
あるアンチエージング・クリニックの紹介記事をなにげにみていたら、TSH、fT3、FT4と書かれていた。あんまり、ものを考えない医者がやってんだなぁ・・・と考えたりして・・・
内科独特の細かい世界だが、甲状腺機能をスクリーニングするとき、TSHを主体に使い、fT4を加えるかどうか・・・するのが普通だと思うのだが・・・内科のトレーニングをしっかり受けている医師なのかどうか疑問をそれだけで感じてしまった。
Is there a need to redefine the upper normal limit of TSH?
European Journal of Endocrinology, Vol 154, Issue 5, 633-637
甲状腺機能低下症のmild forms、subclinicalな甲状腺機能低下が最近overtな甲状腺障害や、ある種の臨床的疾患のリスク要因になるのではないかと議論されている。
診断は、血中遊離thyroxine(T4)濃度正常である場合、血中TSHの正常上限の値設定に依存するわけである。
TSH 4-5mUのカットオフ値は、TSH濃度を高値かどうか診断することで通常検討される。大規模住民研究の最近のデータでは、2-2.5mU/lとより低値を設定することg示唆されているが、
(個別的な検討・甲状腺疾患家族歴・エコー上甲状腺形態正常であるといった)一般住民研究でのTSH参照値評価するものと対象者を厳格なクライテリアへ適応する上でTSH 2.0-2.5 mU/lが明瞭である上限値という結果を示すことにはならなかった。
TSHカットオフ値をさらに低く設定することの正当性は認められず、まだ、0.4-4.0mU/lを維持することが推奨されるだろう。
TSH値2-4 mU/lを異常と分類すると、T4治療においても、おそらくgoodよりharmをもたらすこととなるだろう。
by internalmedicine | 2006-05-06 09:49 | 医療一般