スポンサー付き臨床トライアルは・・・偏りあり

トライアル結果も金次第で動く可能性あり・・・


Clinical Trial Outcomes and Funding Source
1990年代のデータから、利潤追求型(for-profit)組織の基金による臨床トライアルでは、非利潤追求型組織からの基金のトライアルより新規治療優位な報告が多い。この影響を見るために、現代の心血管臨床トライアルについて調査された。

Reported Outcomes in Major Cardiovascular Clinical Trials Funded by For-Profit and Not-for-Profit Organizations: 2000-2005
JAMA. 2006;295:2270-2274.
324の優れたトライアルのうち21にfunding sourceが書かれてない。
not-for-profit organizationによる104のトライアルのうち、51(49%)が標準治療を超えた新しい治療法の方が有意に優秀であるとのエビデンスの報告であり、53(51%)は否定的。(P=.80)

一方、for-porfit organizationでは、137トライアルの内92(67.2%)は標準治療に比べ有意に新しい治療法の方が好ましいtおの報告であった(<.001)

62のjointの基金トライアルのうち、35(56.5%)という中間的な比率での新しい治療法の方が好ましいという結果であった。

薬剤評価の205のランダム化トライアルの内、新規治療が好ましいという比率はnot-for-profit 39.5、jointly funded 54.4%、for-pofit trialでは65.5%(P =.002)
心血管デバイスの39のランダム化トライアルでは、not-for-profit 50.0%、jointly funded 69.2%、for-pofit trialでは82.4%(P=.07)

基金元にかかわらず、代理的エンドポイントを用いたトライアル、たとえば、定量的血管造影、血管内エコー、血中biomarker、機能的測定は臨床的エンドポイント (54.1%; P = .02)より陽性の所見が多い (67%)。


資金とのつながりのあるトライアルがなんらかのバイアスが加わる可能性が示唆される。

私が以前から不思議と思っている事象・・・ACE阻害剤 vs ARBのトライアルの中には、プライマリエンドポイントででなかったにもかかわらず、サブグループ解析の結果がメインアウトカムであるかの如く宣伝している製薬会社が複数有る。インスリン抵抗性改善薬のトライアルはなぜかプライマリエンドポイントが開封直前に変更されているなど・・・

CARISMAになれなかったclopidogrel http://intmed.exblog.jp/3513627/)などにも疑いを持っている。


この国の医療行政は、間接的・直接的を含め、ほぼ全面的にスポンサー依存型であり、税金から国民の健康を増進を目的としたトライアルはほとんどないため、for-profit organizationの関与が少なからずあると思って他方がよいだろう。
・・・最近のメタボリックシンドロームに関する概念の拡大解釈には特に注意が必要と私は思っている。

by internalmedicine | 2006-05-17 10:15 | 医療一般  

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