vCJDの不顕性感染の可能性:バリン‐バリン遺伝子型

前提とする仮説
“ヒトvCJD の全ての症例が、メチオン‐メチオン遺伝子型の患者においてであって、これはメチオン‐バリン遺伝子型とバリン‐バリン遺伝子型が、予防的であることを示唆している。
(http://www.cosfa.co.jp/beautyhealth/2006/2006_03/060328.pdf)


しかし、山内氏などは、メチオン‐バリン遺伝子型が単に発症時期が遷延化しているだけにすぎないという可能性もあると述べている。

全員がコドン129番がメチオニン/メチオニン・ホモのタイプでした。しかし、この遺伝子型が潜伏期にかかわるものであれば、いずれはメチオニン/バリンのヘテロの人での患者の発生が予想されます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/prion/pf128.html




今回、バリン‐バリン遺伝子型が潜伏感染を生じているという可能性の論文がBMJに発表された
プリオン蛋白遺伝子(PRNP)コドン129のメチオニンhomozygosity(同質接合体)を有するひとだけが、vCJDに感受性あるサブグループではないのかもしれない。
Ironsideらは、最近の後顧的研究におけるプリオン蛋白関連の疾患で陽性であった人の虫垂サンプルのDNA解析を行った。PRNPのコドン129のvalineのhomozygousであった。vCJDに感受性のあるサブグループに属する人たちがいて、潜伏期間を有し、無症候性キャリアとなる可能性があると警告している。


Variant Creutzfeldt-Jakob disease: prion protein genotype analysis of positive appendix tissue samples from a retrospective prevalence study
BMJ 2006;332:1186-1188 (20 May)
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;332/7551/1186

12674の虫垂・扁桃腺サンプルの内、3つのプリオン蛋白と関連する陽性サンプル。
採取時、1996-9年に行われた手術時の20-29歳の組織

結果は3つの組織にて2つ適切なDNA検討可能で、療法ともPRNP コドン129 valine homozygousであった。


vCJDに関する研究において、、PrP関連疾患に陽性である3つの虫垂を検討した。
12674標本(11109虫垂、1565扁桃腺)のうちの検討である。
10-30歳において、UKでのvCJD診断数予測から考えて多い数字である。
methionine homozygousサブグループに属する全ての患者で、PRNPのコドン129の多型性があるが、このdiscrepancyの一つの可能性としてPRNP3例のPRNP genotypeの違いではないかと考えられる。
UKでは homozygous 40% 、valine homozygous 10%、heterozygous 50%

vCJDの全ての患者はmethionine homozygous群であった。


特定の表現型のひとが、感染を潜伏させていると言うことは、vCJDの広がりに関して楽観を許さないということとなり、輸血・移植医療などに関わる問題ともなりえる。


Ref)
扁桃腺や虫垂に変異クロイツフェルト・ヤコブ関連プリオン異常発見に関する考察

by internalmedicine | 2006-05-19 10:13 | 感染症  

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