臨床研修後の進路

意外に内科・眼科というところも、診療科進路希望としては少なくなったようである。アナウンス効果みたいなのがあるのだろうか?全国医学部長病院長会議は19日に研修後の診療科別の志望を調査発表している。
大学教授の集まりのくせに、分析が甘い、研修といわば医師たちの就職である研修後診療科に関して分離した分析がなされてない。私だったらこの報告書不合格だが、いろんなことが含まれる素データである。


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(朝日新聞H18.5.22 地域によって掲載日異なる可能性有り)

地域的なばらつきと各診療科の傾向が参考になる。


メディファックスのデータだと・・・

卒後臨床研修を今年、修了した医師で出身の大学病院に戻った人は51.2%←72.1%
産婦人科に入局した医師は、2年前と比べて18.5%減、小児科は28.1%減
脳神経外科(42.3%減)
外科(32.8%減)
形成外科(40.9%増)
皮膚科(23.6%増)

地域別では、四国が30.2%(02年74.0%)
東北32.1%(63.1%)
北海道33.1%(76.4%)
中国36.0%(73.1%)

専門委員会の小川委員長は、「過疎地を含む地方の医療の崩壊や、日本の医学・医療・研究の沈滞が危ぐされる。国民福祉の後退につながる重大問題が現実的に出てきた」と危機感をあらわにした。また「調査では命を守る救急医療の志望が減少も明らかになった。日本の医療制度全体の危機」と述べた。



調査を担当した小川教授は
仕事がきつく、しかも生命に直接関わる診療科への希望が減っている」とみている



この傾向は事実であろう。そしてこれは、抜本的解決がなされない限り、後戻りは不可能で深刻な問題と思う。

死が避けられない病態、リスクの高い処置などは、それが社会的に保護されない限り、選択する側が少なくなるのは当たり前。制度が変わらない限り、外科系・小児科・死にかかわる診療科へ進む医師は減少傾向は続くだろう。

朝日新聞は、憲法上の国民の権利である人権剥奪を行いたいらしく、この短い記事でも、初期研修お終えた後の進路は医師の自由選択に任されているといやみったらしく書いている。
(大東亜戦争に導いた新聞社あ国民的を人権無視の方向へ煽るのがうまい・・・あなた2年間過疎医療やってくれと言いたいけれども、そこはいろんな手順が必要なんだろうという大臣発言とリンクした記事だろう:記者クラブ機能発現)



ところで、大学病院の研修は確かに不効率であるし、だれしもそこで研修したがらないという理由は大学で働いたことのある医者はみな実感しているはず・・・


ところで、最終的進路結果は判明しているはずだが、そのデータはだれがもってるんだろう。行政・地域医療、GP的な医療、産業医、保険会社の診査医、フリーター医師だっている。積極的に調べようとすれば調べられるはずなのだが・・この調査自体が専門診療科だけに限ってしまってるので、わからない。
調査発想者は大学病院さえどうにかなればよいという発想で調査されているので分からない。



なぜ、大学が人気がないかは下のデータを見ればわかるだろう・・・その主因は働かない看護師と事務職なのだが・・・



大阪府医師会調査
分析では会員、非会員ともに回答者を49歳以下で区切った。その結果、会員193人、非会員176人の計369人の回答を有効回答として分析した。

 勤務実態の結果では、厚労省が01年に出した「過労死認定基準」である、1カ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働(当直を除く)をしている非会員が30.7%いることが判明。会員でも28.0%に上り、性別では男性33.7%、女性18.1%。また「過労死」環境の勤務医は大学病院勤務者では43.9%と4割を超えた。中間値推計の労働時間は64.0時間。

 また、74.0%の勤務医が当直をしており、回数は月1~4回が55.8%と過半数。中央値は4.18回。当直中、45.9%が平均5件以上の患者診療を行い、本来の「電話当番・診回り」(当局が当直として認める業務内容)といった実態とはかけ離れていた。当直明けも94.7%が通常業務に就いていた。



5月23日の記事をみれば・・・上記記事と異なり、現実的には小児科・産科に進む医者は多くなるのかもしれない。大学病院で勤務する小児科・産科は減るかもしれないが、一般病院で働く小児科・産科はさほど減らない?という可能性がある。
 大学病院の先生方の分析は大学病院への勤務希望のものであり、一部。全体像が把握されてない可能性がある。いづれにせよ、
結果的にどの診療科に進んだかを別途調べる必要があり、そのときまで結論づけは難しいかもしれない。
小児科、産科が意外に人気 研修医調査 [ 05月23日 20時29分 ] 共同通信
 重労働のため不人気とされる小児科は、32科中3位、産婦人科も8位と意外に人気-。厚生労働省は23日、新しい医師臨床研修制度の1期生の進路に関する調査結果を公表した。民間病院など市中病院での研修が増えたことを反映し、進路に大学病院を選ぶ人が減少する傾向もみられた。 調査は3月に実施。2004年度から必修化した2年間の臨床研修を今春修了した研修医のうち、2500人の回答を中間報告としてまとめた。
 専門にしたい診療科の希望を決めていたのは2154人。うち内科が1位で14%、外科9%、小児科8%と続き、産婦人科は5%でその7割は女性。小児科と産婦人科を選んだ4人に3人が「やりがいがある」を理由に挙げた。

by internalmedicine | 2006-05-22 14:40 | くそ役人  

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