急性肺障害の水管理
2006年 05月 26日
http://content.nejm.org/early_release/index.shtml#5-21-06b
体液管理というのはまだ結論が出てない。そして、肺動脈圧測定自体がリスクがある可能性がある。
conservative approachでは、水分のintakeを制限し、肺水腫減少のため尿量増加をさせ、人工呼吸期間を短くさせ、生存率改善をめざす治療法。ただ、この方法はリスクとして心臓心拍出量減少し、非肺臓器疾患機能を悪化させる可能性がある。
liberal fluid approachは、前項の内在性の利点とリスクに関して逆である。
水分管理はどうしたらよいのだという疑問が発生している。
保守的な水管理が、ALIでは好ましいと、NEJMのearly releaseにてランダム化トライアルの結果が発表された。しかし、編集者は、ALIの引き際(ebb)と流す時(flow phase)の区別に注意しろと述べている。
ALIの適切な水分管理はは不明、利尿剤・水分制限は肺機能を改善するが、肺外臓器潅流を阻害する可能性がある。7日間の詳細なプロトコールを用い、1000名のALI患者で、保守的vs進歩的水管理を行った。

プライマリ・アウトカムは60病日の死亡数、セカンダリ・アウトカムは人工呼吸管理無し日数と臓器不全無し日数、肺機能の測定
60日にて死亡率:保守的25.5%、進歩的28.4%(P=.30 95%CI -2.6-8.4%)
初期7日にて、保守的プロトコールは平均水分バランスは-136±491mL、進歩的プロトコールは6992±502mL(P<.001)
進歩的戦略に比べ、保守的戦略ではoxygenation index(平均気道内圧×吸気酸素分圧/PaCO2×100)の改善、人工呼吸無し日数の増加(14.6±0.5 vs 12.1±0.5 P<.001)、初期28日間のICU非滞在数(13.4±0.4 vs 11.2±0.4 P<.001)の増加が見られた。
しかし、この戦略は60日めの調査期間中のショック発生頻度や有病率増加させず、透析使用にも影響なし (10% vs 14%; P = .06).
60日めの死亡率というプライマリ・アウトカムでは差異がないが、保存戦略は人工呼吸や集中治療期間短縮に働き、非肺臓器不全増加無しで働く。
by internalmedicine | 2006-05-26 15:55 | 呼吸器系