気管支喘息のβ2刺激剤に薬剤耐性あり だが・・・

LABA(長時間作動型β2作動薬)の使用の意義付けがいまだに正直わかりません。
中等症・重症患者でコントロールできない場合に付加的に使用しておりましたが、短期作動型ベースの知見でやはり薬剤耐性(長期間使用により効果減弱)が再確認されるむきがここ数年のようです。以前は臨床的には“ダウンレギュレーションなどない”といっている専門家もいましたが・・・君子?は豹変すで・・・


喘息患者におけるアルブテロール定期使用のβ2アドレナリン受容体の多型性の影響
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The Effect of Polymorphisms of the β2-Adrenergic Receptor on the Response to Regular Use of Albuterol in Asthma
Am. J. Respir. Crit. Care Med., Volume 162, Number 1, July 2000, 75-80
β2受容体のpolymorphismにより、受容体の調節機能への影響がある。
codon16の変異:β2-AR-16
codon27の変異:β2-AR-27

・必要時albuterol使用に比較し定期β2吸入16週後、β2-AR-16(Arg/Arg)ではPEFが軽度低下。4週で最大低下。on demand albuterol使用より、定期吸入では30.5± 12.1 L/min低下 (p = 0.012)。定期吸入時夕方のPEFはArg/Arg群で減少するが、on demand使用で変わらない。
・β2-AR-16のglycin homyzygousではこの減少がない
・β2-AR-27位のpolymorphismと、定期β2、on demand β2使用の違いはない。
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というのが論文でわかっておりまして、ある人たちはβ刺激剤を定期的に使えば、呼吸機能の悪化さえみられるということでした。
こういうかたをピークフローモニタリングをすると臨床的にわかることがあります。

“Annals of internal medicine”でも呼吸機能、気道過敏性ばかりか、気道の炎症と関係するものでさえ、影響があるようです。

 ↓
喘息における定期的β2アゴニストの使用:メタ・アナリシス
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Meta-Analysis: Respiratory Tolerance to Regular ß2-Agonist Use in Patients with Asthma
Annals 2004 140: I-41.
22トライアル、定期β2吸入使用をプラセボと比較し、治療後平均FEV1、ネットのFEV1は変化無く、有意にβ2アゴニスト投与後のピークFEV変化を減少(change, –17.8% [95% CI, –27.2% to –8.5%]);FEV1用量反応減少(–34.8% [CI, –45.7% to –24%])、PC20減少–26% [CI, –37% to –11%])、白血球β2R密度減少 (–18.3% [CI, –31.6% to –5.1%]), binding affinity (–23.1% [CI, –39.4% to –6.8%])、in vitroのイソプロテレノール反応減少 (–32.7% [CI, –56.5% to –9.0%])

喘息治療にβ2アゴニストは重要だが、tachyphylaxisが生じる。
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しかし、ちょっとまえにこういう論文があり
salmeterolという長時間持続型β2受容体アゴニストが利用されているのです。

有症状喘息患者への吸入ステロイド増加か、salmeterol増加かのメタ・アナリシス
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Meta-analysis of increased dose of inhaled steroid or addition of salmeterol in symptomatic asthma (MIASMA)
BMJ. 2000 May 20; 320 (7246): 1368–1373
有症状12歳以上の喘息患者にsalmeterolを加えることは、吸入ステロイドを付加するより呼吸機能を改善死、日中・夜間の症状数を改善し、重症度を悪化せず救急使用薬剤の使用を減少
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McGrawらの報告から高レベルのβ2AR活動性持続により気道のphospholipase C-β (PLCβ) の表出増加さえ、アセチルコリン・ヒスタミン、ロイコトルエンといった気管支平滑筋収縮アゴニストが・・・(以下そのうち訳します・・)


ですが、耐性をゆうさないひとたちもいるわけです。どうすりゃいいんでしょう


<おまけ>
27位のheterzygosityは、肺機能低下に予防的であり、16位のpolymorphismは肺機能減少に関係せず。
Polymorphisms in the beta2 adrenergic receptor and bronchodilator response, bronchial hyperresponsiveness, and rate of decline in lung function in smokers.
Thorax. 2003 Aug;58(8):703-7.

by internalmedicine | 2004-06-01 18:03 | 呼吸器系  

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