甲状腺機能正常なら問題なし?

甲状腺は機能正常化すれば、死亡率・血管疾患アウトカムに関して問題 ほとんどなくなるとのこと・・・ただ、臨床的に経験するように甲状腺機能亢進を経験した後の不整脈は影響が残っているようである(心筋ダメージの影響?再構築・・・などいろいろ検討の課題になりそうという予感)


Mortality and Vascular Outcomes in Patients Treated for Thyroid Dysfunction
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 91, No. 6 2159-2164
甲状腺機能低下15889名、甲状腺機能亢進3888名
一般住民524152名の3116719人年フォロー比較、全原因死亡率・重症血管イベントの増加はいずれの治療下にある甲状腺機能異常でもみられない。
非致死的虚血性心疾患、不整脈が甲状腺機能低下治療患者で増加あり
治療安定甲状腺機能亢進症でも、不整脈のリスクのみ増加(SIR 2.71 95%CI 1.63-4.24)
心不全・脳血管疾患リスクは患者群では増加しない。




では、subclinical thyroid disease(TSH正常範囲外、fT4、fT3が正常範囲)ではどうか?
JAMA. 2004 Jan 14;291(2):228-38.

subclinicalな状態で臨床的な症状、臨床的アウトカムを評価したもので、

10mIU/L超のTSHでは若干だが、治療のbenefitは不十分である。
他の症状と治療benefitの関連は不十分または欠如している。

0.1mIU/L未満の濃度では、心房細動の存在・一過性甲状腺機能亢進症への進展としての指標として良好。しかし、治療予防として支持するものではない。

TSH正常範囲へ改善することは骨塩の改善としてはfairである。他のclinical outcomeとの関係のデータは不十分・欠如している。
妊娠中のsubclinicalな疾患は特別で、aggressiveな姿勢が必要となるだろう
【結論】
>195の英語文献のレビューにて、血中TSH 0.1-0.45もしくは4.5-10.0mIU/Lのconsequenceは少ない。ルーチン治療を推奨されていた。住民ベースの検診をサポートするにはエビデンスに乏しい。
積極的なケースとしては、妊娠・60歳超の女性、他の高リスク対象者である。
・・・歯切れの悪い・・・結論


甲状腺機能低下症は忘れたことにやってくる!・・・という個人的感想

by internalmedicine | 2006-06-10 10:07 | 内科全般

 

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