アメリカのガイドラインが一番正しい・・・わけないだろ!

なんでも、アメリカが優れていると思っている馬鹿が、日本ではどこの分野でも多い。英語ができるだけで、中身の空っぽでも、えらそうなのがいっぱい。テレビに出演する連中はこんなんばっかりで、中身がほとんど無く、ゲーコクの直輸入発言で、困ったことに入閣し、メディアの親玉になってるのもこういう類の連中・・などと(英語がほとんど聞きとれない私が愚痴るわけだが・・・)

アメリカというところは良くも悪くもCapitalismである。あそこの国の良いところはシステミックであること、日本のより直感的行政が少ないこと、官僚が固定的でなく、ダイナミックな発想ができるところだろうか。(・・・よく知らんが・・・)


さて・・・


メタボリックシンドローム関連の当方ブログ記事でふれた論文・・・BMJ 2006;332:878-882 (15 April)

この表を見ていただきたい・・・http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/332/7546/878/TBL3

一部抜き出し
アメリカのガイドラインが一番正しい・・・わけないだろ!_a0007242_1012548.jpg



これを見れば・・・総コレステロールというもののメタボリックシンドロームのような動脈硬化前(前)状態においてはインパクトがないということが推定されそうな気がする。・・・一次予防においてスタチンのRCTは複数存在するがいずれもNNTはきわめて高く、NNTは死亡に対するNNTは111(5年間)、急性心筋梗塞に対するNNTは42(5年間)である(参照:持ち出し禁止自著参考)。

J-LIT研究を根拠にした批判はもともとJ-LITがほとんどまともな研究でないので結論づけるべきではないと考えている。
日本では地道な、スポンサーバイアスや薬害オンブスパーソン・バイアス(なんでも薬害にしたがる政治的グループ)のかからない、まともな議論の場所というものはないのだろうか?


スタチンの一次予防に関して、コスト効果・コスト有効性・コスト有益性に関する評価はもう一度考え直すべきかなぁと思ってきている。

各国ガイドラインの効果・有効性について検討した論文で、アメリカのが最低であった


【対象の6つのガイドライン・ステートメント】
・Genest J, Frohlich J, Fodor G, McPherson R. Recommendations for the management of dyslipidemia and the prevention of cardiovascular disease: summary of the 2003 update. CMAJ 2003;169: 921-4.

National Cholesterol Education Program (NCEP). Detection, evaluation and treatment of high blood cholesterol in adults (adult treatment panel III). Bethesda, MD: US Department of Health and Human Services, National Institutes of Health, National Heart, Lung, and Blood Institute, 2002. (NIH 02-5215.)

・New Zealand Guidelines Group. The assessment and management of cardiovascular risk. Wellington: New Zealand Guidelines Group, 2003. (www.nzgg.org.nz/guidelines/0035/CVD_Risk_Full.pdf#page=33)

・British Heart Foundation. Updated guidelines on cardiovascular disease risk assessment. Factfile 08/2004. London: British Heart Foundation, 2004. (www.bhf.org.uk/professionals/uploaded/aug_2004%20v2.pdf)


・De Backer G, Ambrosioni E, Borch-Johnsen K, Brotons C, Cifkova R, Dallongeville J, et al. European guidelines on cardiovascular disease prevention in clinical practice. Third Joint Task Force of European and other Societies on Cardiovascular Disease Prevention in Clinical Practice. Eur Heart J 2003;24: 1601-10.

・Lipid management guidelines—2001. National Heart Foundation of Australia, the Cardiac Society of Australia and New Zealand. Med J Aust 2001;175(suppl): S57-85.[Medline]




Effectiveness and efficiency of different guidelines on statin treatment for preventing deaths from coronary heart disease: modelling study
BMJ 2006;332:1419 (17 June)
カナダ住民に適用したとき、オーストラリア・イギリスのガイドラインは、5年間もっともeffectiveであり、死亡回避可能:>15000名

ニュージーランドのガイドラインでは、もっともefficientであり、最も少ない治療対象者で効率的に死亡患者を少なくできる:14700名
(オーストラリアガイドライン適用:12.9% v イギリスガイドライン適用:17.3%)

"optional"に推奨されるのが、USガイドラインでニュージーランドガイドラインの2倍の治療対象者が必要で、住民の24.5%、140万人の治療対象者増加が必要で、ほとんど死亡数減少が望めない。


スポンサーシップを疑うわけではないが、アメリカのガイドラインは、ばらまき型である。

対して、ニュージーランドのガイドラインは、isolated risk患者としては、TC>8mmol/L(309mg/dl)、TC:HDL>8、血圧>170/100mm Hgでライフスタイル介入をプラスして薬物治療対処というもの・・・重度重点型である。・・・すんげぇーなぁというのが私の感想

どっちが良いのかほんとのところは分からないが、中庸が望ましいような気もする

・・・どの程度のインパクトであるかは日本での実数推定がなされないと分からない。

・・・日本の医療経済学の先生方たちもPCやネットで遊ぶ些事な研究で、お茶をにごさないで、たまには、こういうものに真っ正面から取り組んでももらいたいものであると知り合いの先生を念頭に置きながら・・思うのであった。

(独り言の多い・・・今日のブログであった:だって患者少ないんだもん)

by internalmedicine | 2006-06-16 09:58 | 動脈硬化/循環器  

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