閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)のCPAP治療:血圧に与える影響

日本には、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)を全く無視して、仮面高血圧だの、non-dipper&dipperなどを講演している、風変わりの医者が居て、それをありがたがってるそれまたおかしい医者たちがいる。かれらはなぜ、正面からOSAに取り組まないのだろう・・・実に不思議。

OSAなんてほとんど循環器の病気じゃないか!

ここ2-3日で、OSA・高血圧に関する注目すべき論文が2つ発表になっている。

数年前のショッキングだった論文:CPAP治療たった2日でレニン・アンジオテンシン系の改善が見られるということに感動した
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前後でいろいろCPAP治療で血圧が下がるのではないかと・・・研究がされているが今ひとつ確定的なものは未だに発表されていない。


今回も・・・血圧コントロールという面では今ひとつのデータ

Effect of Continuous Positive Airway Pressure on Ambulatory BP in Patients With Sleep Apnea and Hypertension A Placebo-Controlled Trial
Chest. 2006;129:1459-1467.)
【背景】閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は体高血圧の独立したリスク要因である。いくつかの対照治験で、CPAPの血圧へ及ぼす影響が検討されているが、特異的な影響は証明されていない。
【目的】OSASと高血圧を有する患者でのCPAPの持続血圧への影響解析
【デザインなど】平行ランダム化プラセボ対照トライアル、68名のOSAO/高血圧併発患者、4週間治療域CPAPと治療以下CPAPのランダム化治験
【結果】
AHI、合併症、ABPの群間偏り無し
CPAPの客観的コンプライアンスは同様 (5.0 ± 1.4 h/d vs 4.4 ± 1.9 h/d, respectively; p = 0.13 [mean ± SD]).
4週間治療にて、群間にて小さく、統計学的に有意差のない減少が見られた (-- 0.3 ± 6.3 mm Hg vs -- 1.1 ± 7.9 mm Hg; difference-- 0.8 mm Hg [95% CI -- 2.7 to 4.3]; p = 0.65)
収縮期・拡張期・夜間血圧の有意な変化は見られなかった。
治療域下CPAP群に比較して、治療CPAP群では正常なcircadian dipper patternが回復 (11 of 32 patients vs 3 of 25 patients; odds ratio, 3.84; 95% confidence interval, 0.82 to 20.30; p = 0.10)
24時間血圧とCPAPコンプライアンス、OSAS重症度、降圧剤種類に相関無し



だが、合併高血圧による合併症・予後改善の可能性が、前のRAA系への改善効果とあわせ、明らかになりつつある。
・・・問題はどの程度のインパクトがあるかだが・・・

Treatment of obstructive sleep apnoea leads to improved microvascular endothelial function in the systemic circulation
Thorax 2006;61:491-495
【背景】commonなそして可逆性可能な高血圧の原因としてのOSA
OSAが高血圧の原因となるメカニズム、治療の影響はまだ確立していない。微小動脈血管内皮機能は、OSA患者で評価され、CPAP治療前後で評価されている。
【方法】10名:平均年齢49(8)、中等度以上のOSAで、3ヶ月治療前後比較
以下薬剤の動脈内投与による前腕動脈圧、流量、抵抗観察
acetylcholine (ACh; an endothelium dependent vasodilator)
sodium nitroprusside (SNP; an endothelium independent vasodilator)
L-NMMA (a nitric oxide (NO) antagonist)
L-arginine (the substrate for NO)


【結果】
CPAP前にてAChやSNP、SNP注入により前腕血流増加を用量依存的に生じる (p<0.01).
CPAP後は、AChによる血管内皮依存血管拡張はCPAP後434%(23%)増加 v CPAP前278%(20%) p<0.001
SNPによる拡張では変化無し
安静時NO産生はCPAP後高値で、L-NMMA basal flow後有意に減少する
L-ArginineはL-NMMAの作用を回復させる。
【結論】OSA患者において、CPAP治療は血管内皮のbaselineNO遊離を改善し、血管内皮依存性の血管拡張作用を促進する。この機序は、体血管や血管機能の改善の可能性を示す




睡眠時無呼吸症候群をサスという素人医者がOSAを解説する・・・この業界

by internalmedicine | 2006-06-17 10:04 | 動脈硬化/循環器  

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