市中肺炎抗生剤使用・中止のガイダンスにPCT(プロカルシトニン)を・・・CRPは唾棄すべき?

プロカルシトニン(PCT)は健保適用となっている。


Procalcitonin Guidance of Antibiotic Therapy in Community-acquired Pneumonia
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 174. pp. 84-93, (2006)
【はじめに】 市中肺炎(CAP)患者に於いて、ガイドラインでは7-21日の抗生剤投与を推奨している。 Procalcitoninは細菌感染で増加し、そのダイナミクスは予後推定に役立つ

【目的】 CAPに対する抗生剤開始と治療期間のガイダンスとしてPCTが役立つか?

【方法】 ランダム介入トライアルに於いて、320のCAP連続患者で、ベースライン、4,6,8、6週後比較

対照群(n=151):通常治療
procalcitonin群(n=151):血中procalcitonin濃度:

strongly discouraged,< 0.1 μg/L
discouraged, < 0.25 μg/L
encouraged > 0.25 μg/L
strongly encouraged > 0.5 μg/L と分類

【結果】プライマリエンドポイントは抗生剤使用
セカンダリエンドポイントは臨床的、検査値、レントゲンアウトカム

ベースラインにおいて、両群とも臨床的・検査・細菌学的背景、PSIは同様。

Procalcitoninガイダンスにより
総抗生剤投与量(exposure):相対リスク 0.52(95%CI 0.48-0.55) P<0.001
抗生剤処方:85 vs 99% P<0.001
抗生剤投与期間:中央値 5 vs 12 日 p<0.001


PSI補正後、抗生剤中止HRは対照群に比べprocalcitonin群で高い (3.2; 95% confidence interval, 2.5 to 4.2).

アウトカムは両群同様で、包括的な成功率は83%

【結果】Procalcitoninガイダンスは、CAPでの抗生剤使用を減少させる。この発見は臨床的・公衆衛生上の意味を持つかもしれない



CRPはTNFαやIL-6より肺炎の臨床マーカーとしては優れている(Chest, Vol 108, 1288-1291,)
しかし、CRPはレントゲンの浸潤影・細菌学的ものとの判断する上では感度が良くなく除外できないし、特異性も悪い。診断検査としての方法論的Qualityも一般的に悪い。CRPを抗生剤処方の迅速ガイダンスとすることは推奨できない (BMJ 2005;331:26 (2 July),
)

CRP意義の歴史的過程は出版バイアス有り


日本呼吸器病学会ガイドライン
①体温の37℃以下への低下, ②胸部レントゲン陰影の明らかな改善(10 点満 点法では70 %以下への点数の改善),③白血球 数の正常値への復帰,④CRP値の30%以下への低下, の4 項目中3 項目以上を満たして,残った項目も増 悪を認めない場合に「有効」とし,この条件を満たさないものを「無効」とする).


CRPは抗生剤使用・中止判断に使うには問題がある、ただし、PCTを即刻採用するにしては値段と迅速性に関して解決すべき問題がある・・・しかしながら時代はCAP診療に於いてCRPは唾棄すべき方向に向いているのかもしれない

by internalmedicine | 2006-06-24 08:55 | 呼吸器系  

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