グラム陰性関連血液感染再興

血行性感染の主役がグラム陽性→グラム陰性→グラム陽性(→グラム陰性)と変化してきているのだろうか?・・・真菌も・・・

Reemergence of Gram-negative Health Care Associated Bloodstream Infections
Arch Intern Med. 2006;166:1289-1294.
プライマリ医療機関関連血行性感染とでも訳すのだろうか?・・・Primary health care?associated bloodstream infections(PHA-BSIs)は、US内で年間35万名の患者が発生する。1970年代グラム陰性菌が主だたが、グラム陽性菌が最近多くなってきている


3662名のPHA-BSIsで4349で細菌、真菌同定
1999年→2003年で、グラム陰性桿菌比率が15.9→24.1%と増加(P<.001)
病院の各部門での有意な相違はない。特異的なグラム陰性菌種の増加がこの増加に比例せず寄与しているということはない。
いくつかの例外を除いて、抗菌耐性が増加しているということはない。
グラム陰性菌の増加はPHA-BSIsのコアグラーゼ陰性のstaphylococci(33.5%→29.9%  P = .007)、黄色ブドウ球菌(18.8%→11.8%  P = .004)によるもの
カンジダによるPHA-BSIsは5.8→11.3%と倍増 (P = .002)




Hospital-acquiredからHealthcare associated infectionという名称を時折見るようになった。接触感染や飛沫核感染などと違い、血行性感染はやはり医療行為と直結しているからだろうか?人工呼吸肺炎は?・・・などとまた余計ごとを考えてしまう。

病院で感染したから病院が悪い、医療行為で感染したから医療従事者が悪い・・・って風潮。埼玉の事例はいわゆる“感染症の専門家”がMDRPが集団発生することはありえないと即答・・・(専門家というなら疫学的な根拠があるんだろうなぁ・・・計算している風でもなかったが・・)・相変わらず、脊髄反射的な報道(解説者を含め)の集中豪雨。



院内感染というのは、MRSA、MDRP、セラチア・・・などメディアで報道され、医療機関への無限責任があるかの如く、厚労省医療機関への縛りがまた増えていく。

システムやその効率を問題にするのではなく、だれかしらを100%の極悪人と仕立てあげ、土下座を記者に強いる・・・>さらに、メディアは勘違いして、読売新聞の記者の如く、一般人としての常識に欠ける態度を世間に晒すこととなる。

効率の問題・・・

感染症コントロール活動性
A:感染症コントロールのコストと有効性
B1:感染症の総コストと予防の利益
B2:感染症のネットコストと感染コントロールの利益
C:総コスト
X:総コストを最小化する時点
Economics and Preventing Hospital-acquired Infection




通常、我々は無菌室に存在するわけではないので、100%感染症から逃れることは不可能。コスト効果のある手段を探すことが大事である。

低医療コストを強いられれば、当然のごとく、安全性に係るコスト削減せざる得なくなる。

・・・ところが、メディア・司法などがこのことを理解できず、多大なコストを現場に強いることとなり、肝心の医療への振り分ける原資が無くなることすらあるのである。

高みから見た医療制度というのをだれも考えてないと・・・最近、感じてしまう。

日本のメディアは、メディアには腰抜けで、そのため、麻疹ワクチンなどを絶滅させかけた前歴をもつ・・・>現在は、自らの悪政を、現場医療機関に濡れ衣を着せ続けているのである・・・CDCのような分析をすることなく・・・

by internalmedicine | 2006-06-27 10:48 | 感染症

 

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