甲状腺機能低下症の維持量の目標値



AFP(http://www.aafp.org/afp/20011115/1717.html)の記載から
視床下部下垂体系が正常の患者では、TSHの変化は、血中甲状腺値の変化に遅れる。TSH値はlevothyroxine量補正後4週間より後に評価すべき
TSHへの影響は8週後まで現れないだろう
下垂体機能異常の場合、euthyroidを維持しているかどうかは fT4、fT3値を測定して行うべきで、目標は遊離甲状腺ホルモン値を正常中間から上限までの間で維持することである
データはないがほとんどの患者でTSH、fT4は毎年測定士、一度安定したメンテナンス量に達したら、60-70歳まで適量を継続するのが通常
年齢とともに甲状腺結合能が低下し、血中アルブミンが減少する。

とある。




一方、ハリソンでは・・・
"When the diagnosis is confirmed, T4 is instituted at a dose of 10 to 15 g/kg per day and the dosage is adjusted by close monitoring of TSH levels.
T4 requirements are relatively great during the first year of life, and a high circulating T4 level is usually needed to normalize TSH."
と具体性がない・・・


横断研究であり、エビデンスレベルでは高くないが・・・

Which thyroid-stimulating hormone level should be sought in hypothyroid patients underl-thyroxine replacement therapy?
International Journal of Clinical Practice, Volume 60, Number 6, June 2006, pp. 655-659(5)
L4-RT(thyroxine補充療法)患者の、TSH値抑制と血中ホモシステイン値・CRP・フィブリノーゲン・d-dimer・血中コレステロールなどの心血管リスクパラメーターの関連があるかどうか?
4002名の甲状腺機能低下患者を横断的に調査
任意の方法でL4-RT下のTSH(mIU/l)に達した値でグループ分け
fT3、fT4正常な中で、TSH 0.4-2を1群(n=154)、2-5.5を2群(n=176)、5.5-20を3群(n=72)
3群を一過性甲状腺機能低下(n=71)、健康対照(n=797)と比較


ホモシステイン値(μmol/l)は有意に3群で異なる (10.4 ± 4 for group 1, 11.3 ± 3.7 for group 2 and 13.5 ± 4.7 for group 3; p < 0.01 for all groups)
CRP(mg/l)も有意に3群で異なる(2.6 ± 2.6 for group 1, 3.3 ± 2.9 for group 2 and 4.8 ± 4.1 for group 3; p < 0.01 for all groups)

単変量解析で、ホモシステイン値とCRP値は有意にfT4とTSH値で相関(p<0.01 両群)

統計学的な相違はfibrinogen、d-dimer値で3群間で認められなかった。


脂質でのL4-RTの影響は、統計学的に有意差はないが、脂質パラメーターへの影響の傾向が見られる。

目標TSH値<2がCRPやホモシステイン値低下、一部脂質パラーメーターを指標とする場合、助言しうるものである




何れかを目標にするかは・・・?

by internalmedicine | 2006-06-29 10:57 | 内科全般

 

<< 認知症・アルツハイマー病に関し... ヨード過剰摂取:甲状腺機能低下... >>