眠気と交通事故

日本の警察が出す統計というのは“?”なのが多い・・・事例。こういうのをみるとあきれ果てる。

BMJは交通事故に関して以前から多くの論文をアクセプトしているようである。低所得国家では交通事故が増加し、高所得国家では交通事故減少の傾向にあるとのこと。その中でも、BMJは今週運転中の危険行為の関係、そして、病院統計からみてほんとに交通外傷は真に減少したとはいえないという報告がなされている。


警察の、統計とも言えない馬鹿みたいな報告を喜んでる場合じゃない・・・と思う。


主題に入るが・・・


眠気と重大な交通事故の問題!

・運転中の眠気自己評価で重大な交通事故の強力な予後推定可能
・運転中の眠気を評価する事ができるということを示唆するがそれに従った行動は難しい



Awareness of driving while sleepy and road traffic accidents: prospective study in GAZEL cohort
BMJ 2006;333:75 (8 July)
【目的】眠気運転の自己評価と重大な交通事故のリスク(RTAs)に関する相関関係
【デザイン】前向きコホート研究
【セッティング】フランス
Setting France.
【参加者】GAZELコホート19894名のメンバー中13299名、1989年からフォローされているフランスの国家的utility companyの勤務者・退職者
【メイン・アウトカム】直近12ヶ月の眠気運転の頻度、2001年報告、2001-3の重篤なRTAsのリスク比(時間依存的因子によるgeneralised linear Poisson regression modelを用いた推定)
【結果】重篤なRTAsのリスクは自己報告眠気運転頻度に比例して増大する
社会人口学的要因、運転行動変数、仕事の状況、インtない、医学的コンディション、治療、うつ症状、睡眠疾患などの要因補正後
12ヶ月以前から眠気運転経験“数回”・“1ヶ月に1回以上”経験した場合の補正頻度補正rate tatioは、眠気運転経験しなかった対象者に比べ、 それぞれ、1.5 (95% confidence interval 1.2 to 2.0) 、 2.9 (1.3 to 6.3)
この相関は睡眠障害関連疾患により説明できない
【結論】眠気運転の自己評価が重篤なRTAsの強力な推定因子とうことは
ドライバーが眠気を自覚することはRTAs予防という面からは十分な効果があるとはいえない
予防メッセージは、眠気運転へ焦点を当て、運転を中止するか、旅行前に睡眠をとること



ドライバーの眠気は交通関連事故合併症・死亡率に関して重大な問題であるという認識が深まっている。しかし、この要因を適切に評価することがなされていない。眠気のRTAsへの寄与比率は3%~33%とフランス、US、オーストラリアではいわれている。運転者自身が運転中の眠気に関する正確なアセスメントできるかどうかについてしられてない。
2005年、“Sleep in America”は、運転・運転免許を持っているアメリカ成人の60%が過去1年間に運転中に眠気を経験しているとのこと・・・潜在的危険性はかなり高いのである。




睡眠障害・眠気・睡眠時無呼吸・閉塞型睡眠時無呼吸がごっちゃになって、何永なんだか分からなくなってる話が世間に蔓延している。OVERVIEW OF THE FINDINGS OF THE NATIONAL COMMISSION ON SLEEP DISORDERS RESEARCH (1992)という啓発活動がWake Up America!という運動と混同され・・・なんだかなぁ・・・


日本の睡眠時無呼吸症候群も3年前の新幹線事故後一時的な関心がもたれたが、現在、メディアの話題に上ることは少ない。国土交通省は、アンケート法を用いた形骸的なスクリーニングでお茶をにごし、事業主に全幅の信頼を置いた方法が用いられている。・・・このアンケート方法は以下の如く全く意味を持たない。
眠気と交通事故_a0007242_10184171.jpg

(EPSスコアとAHIスコア)


事業所の中には、アンケート前に含む話を行う施設もあると聞いている・・・客観的な酸素飽和度モニタリングをまともに導入しないと・・・そのうち重大な産業災害が生じると思う(起きてるかもしれないが・・・)

by internalmedicine | 2006-07-07 10:48 | 医療一般  

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