腸管感染症でアデノウィルス咽頭部ぬぐい液検査意味があるのだろうか?
2006年 07月 08日
他の子供を祖父母のところに預けてたら祖父母に下痢症状出現
・・・で当方にアデノウィルス検査をしてくれとのこと
間接的情報なので正確ではないのかもしれないが、当初の患児は腸管感染なのにアデノウィルスPOCTを行ったとのこと
エンテロアデノウィルス
o Enteric adenovirus infectionはおもに乳幼児の託児所で生じる、ロタウィルスよりは少なく、astrovirusより少ない。無症状者から培養されることもあり、アデノウィルスは腸管で迅速に複製される。下痢症状の状況で明らかにされる感染症である。
・血清型40、41 が“noncultivatable”と呼ばれ、胃腸炎の原因として代表的。新しい培養系では培養可能となった。
一方
BD社のPOCTではアデノウィルス1,2,3,4,5,6,7,8,11,19,37型と反応
・腸管感染症で想定される血清型は現在のPOCTでは対応されてない
・咽頭ぬぐい液で行い、病変の首座でないところからの検体獲得している
・偽陰性率が比較的高い検査特性
など、合理性が思い浮かばないのだが・・・
なぜ、胃腸症状でアデノウィルス検査をしたのかが私には解せない。今回の事例はPOCTの特異度から考えて、通常の40,41でない血清型のアデノウィルス感染だったのだろう。それが、小集団の流行を生じたものと思われた・・・証拠はないが・・・
感染性胃腸炎への咽頭ぬぐい液検査の意義というのはあるのだろうか?
臨床的に疑問をもった次第である。
ちなみに、冒頭の事例、当方では検査せず、患者・家族に説明したが、かなり不満顔であった。
by internalmedicine | 2006-07-08 11:41 | 感染症