喫煙と黄斑変性症、魚、ω3脂肪酸は抑制的・・・・JTの暴論と禁煙指導

喫煙の害は全身性であることは間違いないと思う。

Cigarette Smoking, Fish Consumption, Omega-3 Fatty Acid Intake, and Associations With Age-Related Macular Degeneration
The US Twin Study of Age-Related Macular Degeneration Arch Ophthalmol. 2006;124:995-1001.
老人双生児における加齢関連黄斑変性のリスク評価
US双生児研究

現行の喫煙者は1.9倍のリスク増加?(95%CI 0.99-3.68 P=.06)
喫煙既往は1.7倍のリスク増加(95%CI 1.2-2.6 P=.009)

魚摂取(2以上のserving/wk)でリスク減少傾向(P=.04)
食事ω3脂肪酸摂取と逆相関(オッズ比 0.55 955CI 0.32-0.95)(四分位比較)

喫煙の寄与リスク32%、ω3高用量摂取による予防fractionは22%






禁煙指導をしていて、その指導ツールの中身の薄っぺらさ、根拠薄弱なものが羅列しているのにあきれてしまう。・・・あれってだれがつくってるのだろうか?
以前、たばこ1本でビタミンCを破壊すると何mgという根拠を・・・その冊子を提供した製薬会社に尋ねたが結局根拠無しであった。こういうはったりを書けば、JT側大喜びなのである。科学的に信頼できる指導ツールを作ってほしいものである。


禁煙の健保適応に関するJTの言い分をみると、一つの論文の断片を紹介して、全てを否定するのも詭弁。

これに関しては、一つの論文よりエビデンスレベルのより高いCochrane Libraryを参考にすれば、その有効性が書かれている。
ニコチン置換療法 vs プラセボ+非ニコチン置換療法群でのオッズ比は 1.77(95%CI 1.66-1.88)
ニコチン置換療法が最も優れているというわけではなく、今後、他の薬物療法が出現する予定だが、


出典論文の記載がいい加減で、“Pierceら(2000) JAMA 288:1260-1264”という論文は存在しない。
JAMA. 2002;288:1260-1264.”が正しい

もっと大事なことは、この論文が、医師などの医療従事者介入の禁煙指導の論文でなく、一般大衆がニコチンガムみたいなのを使ったときに簡単には禁煙できませんよという論文ということである。

Cochrane Libraryは2000年から公表されており、エビデンスレベルの高い論文を紹介せず、パブリック・サーベイを系統的な禁煙治療とミスリードさせようとしている。ほんとに、JTはうそつきなのである。


司法判断に関してふれているが、もうちょっとましなJTへの反論はできなかったのだろうか?JTの主張にはいくらでも反論できる材料が多いと思うのだが・・・

喫煙の害に根拠が少ないのではなく・・・・喫煙を嫌う人たちにはJT程度のレベルの低い反論をまともに行えないほどその科学的思考能力に欠けるひとが多いのではないかと・・・つくづく感じてしまう。




Cochrane Library
× Acupuncture in smoking cessation   禁煙における鍼治療

×(buproprion ×~△) Anxiolytics and antidepressants in smoking cessation   禁煙における抗不安薬と抗うつ薬

○ Clonidine for smoking cessation   禁煙に対するクロニジン

× Lobeline for smoking cessation   禁煙に対するロベリン

○(NRTはヘビースモーカーに対する禁煙対策の効果的な要素の一つである.ルーチンに提供すべきである.) Nicotine replacement therapy for smoking cessation   禁煙に対するニコチン置換療法

×~△(単純な指導の禁煙率への効果は小さい.) Physician advice for smoking cessation   禁煙に対する医師の助言

× Silver acetate for smoking cessation   禁煙に対する酢酸銀

○ Training health professionals in smoking cessation   禁煙治療における医療従事者の訓練


* ニコチンパッチに於ける文献集めは・・
o http://scholar.google.com/scholar?q=nicotine+replacement&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=en&btnG=Searchなどでしょうか

* 本邦では・・ランダム研究はわずか1つ
o ニコレットによる禁煙達成に及ぼす保険薬局薬剤師の禁煙指導の有効性に関するランダム化群間比較調査研究 禁煙開始3ヵ月後での評価(原著論文)  Author:望月眞弓(北里大学薬学部附属臨床薬学研究センター 医薬品情報部門), 初谷真咲, 六條恵美子, 有田悦子, 橋口正行, 清水直容, 竹内正弘, 山本信夫, 秋葉保次 Source:YAKUGAKU ZASSHI(0031-6903)124巻12号 Page989-995(2004.12)

by internalmedicine | 2006-07-12 14:41 | その他  

<< 再発性アフタ性口内炎 女性は喫煙による肺癌感受性高い... >>