暑い日が続きますが・・・

熱中症関係ってのはあまり学問的に省みる人が少ないせいか、誤用・誤訳が目立つ

○ Wikipediaの熱中症=hyperthermiaとしてるが間違いだと思う。hyperthermia=高体温と思われる。・・・これは本家から間違い

○ 熱中症の分類に関して、努力性熱射病[exertional heat stroke]としているサイト・発表があるが、これは“運動性”・“労作性”だと思う。

○ Sun Exposure(日射関係)とHeat Exposure(熱射)との混同も多い

○ Heat Exposure・・・分類としては、熱射病、熱疲労、熱痙攣(Heat Cramps)と日焼け(Sunburn)、Heat Rashという発疹に関して“heat related illness”とするのが普通だとおもうが、

○ 日本語では熱中症が使われていることが多い、どうも総合的に見れば、熱中症=熱射病+熱疲労+熱痙攣 が主流だろうか?・・・言明された記載を見つけられなかった

熱中症保健指導マニュアル(2006年6月改訂版)
が素人向けのせいなのか厳格な医学定義が書かれていない。

“熱の産生と「熱伝導と汗」による熱の放出とのバランスが崩れてしまえば、体温が著しく上昇・・・このような状態を熱中症”と書かれている。・・・熱中症=熱射病+(熱疲労)+熱痙攣となるのかもしれない。

ただし、以下のheat-related illnessの治療法をみれば、熱と関連するのは熱射病だけであり、熱中症の定義は意味がなくなる・・・(アメリカ家庭医学会



熱射病、熱疲労、熱痙攣を重症度分類なのか、病型分類なのか・・・その点をはっきりさせず、ある啓発サイトでは明確に重症度分類の如く書いているが、明確な根拠がない。

医学用語をもう少しちゃんと整理してほしいものだ・・・


WBGTが重視されている。・・・産業医学で習った気がするが・・・忘却の彼方

WBGT(Wet-bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)
日射のある屋外:WBGT = 0.7 NWB + 0.2 GT + 0.1 NDB
日射のない屋内:WBGT = 0.7 NWB + 0.3 GT
NDB(natural dry bulb temperature)は 自然気流に暴露された乾球温度
GT(globe temperature)は黒球温度(5インチ黒球温度計)
NWB(natural wet bulb temperature)は輻射熱を防ぎ自然気流に暴露された湿球温度


熱中症とWBGTの関係

WBGT Analysis for Application of Heat Stress and Strain TLV® (2000)
with a Method to Estimate WBGT
http://hsc.usf.edu/~tbernard/HollowHills/WBGTInstr10.pdf


環境省熱中症予防情報サイト:
http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/index.html



NATAポジションステートメント アスリート水分補給
Heat-related illnessesは、 heat exhaustion(熱疲労)、heatstroke(熱射病)にわけられ。従来の熱傷病というのは環境的に高温に晒され、40度を超える核体温となるもので、数日で進行し、中枢神経障害を有する。全身性炎症性カスケードを伴う脳症状によるもの
運動性熱射病(Exertional heatstroke)は若年者に多く、急激な発症で、数時間で発症し、高核体温となるもの
熱疲労は症状が比較的軽度で、多く遭遇するもの。熱疲労の症状はめまい、口渇、筋力低下、頭痛、倦怠感を訴え、中枢神経症状を欠如するもので、涼しくしたり水分補給で改善する




heat wave:熱波
 直接の死亡原因意外に、超過死亡との関係の検討が必要

heat stress:高温、放射熱、多湿、直接の高熱源接触、強度運動などによる職業的なストレス(鉄鋼、電器、ベーカリー、調理、ランドリー、化学プラント、トンネルなど・・)や環境によるものなど

・heat cramp
・heat stroke
・heat exhaust


システミックな炎症反応が死亡と関連するらしい(J Appl Physiol 98: 697-705, 2005 Shock. 2005 Oct;24(4):332-5.)
熱射病(Heat stroke)は生命危機に至る疾患であり、core body temperature(Tc)(>40℃)と中枢神経異常(せん妄、けいれん and/or 昏睡)を来すもので、 高温の大気下(古典的・非運動)と強度運動(運動性)の熱射病に分けられる。
体温低下・集中治療管理でも多臓器機能不全・障害(multiple organ dysfunction/injury syndrome (MODS) )や死に至る。生存した場合でも30%に持続性の神経障害が残る。MODSのメカニズムはまだ十分判明してるとは言えず、特異的治療があるとも言えない状況である。blockquote>

超過死亡は3週間後影響を与える可能性(Epidemiology. 2005 Sep;16(5):613-20.)



地球温暖化が叫ばれる世の中、これからも熱中症研究も重要だと思うのだが、概念・定義、訳などあやふやと思われることが多い。いろんな意味で、もうちょっとしっかりしてほしいものだ。

by internalmedicine | 2006-07-15 12:10 | 医療一般  

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