かぜ症状対策貼付剤の有害性の認識が足りないのではないか

かぜ症状に対する貼付剤のことが話題になっているようである。


「貼付」読み仮名について
医療関係者は「ちょうふ」と呼ぶと思うが、世間的には「てんぷ」と慣用読みもあるらしい。(goo辞書)
Web検索したら、貼付(てんぷ)と“ふりがな”があり、ちょっとびっくり



“かぜ”という言葉に敏感な私はつい反応してしまう。こういう薬剤はテレビCMにおいて誤解をあたえるようなCGを多用しており、もともと不快感を催す。
・・・カンフルというのは大昔の医者が使っていたが、今はニキビにイオウ・カンフルローション程度か・・・

このカンフルは呼吸器系を専門としている医者にとってとても気になる有害性を有している。詳しくは、後述するが、気道刺激性があり、気道過敏を有する患者群にとって好ましいものではないと推定され、また、インフルエンザ脳症への影響を与えることが推定される中枢神経系副作用を有するのである。



“医薬部外品である小児のかぜに伴う鼻づまり、くしゃみ等の緩和を目的とする貼付剤(いわゆる小児用の鼻づまり改善薬たる貼付剤)”と長ったらしい市販のもの、具体的には、“胸、のどに貼る貼付剤(カンフル、メントール、ユーカリ油等を含有)である「トリアミニック・ヴェポ・パッチ(Triaminic Vapor Patch)」について、小児が誤って口に入れ噛みつづけたことにより有害事象1例(発作)”の報告に関する厚労省の注意喚起があったとのこと

FDA New(June 19, 2006)に書かれている・・・
Triaminic Vapor Patchは、“カンフル、メントール、ユーカリ油”を含むもので、嚥下や噛むことによって、含まれるカンフルやユーカリ油により、口腔内で燃える感覚、頭痛、吐き気、嘔吐、そしてさらに重症な、けいれんを生じることがある


カンファーは、メチルサリチル酸、局所imidazolines、benzocaine(USではトローチの成分に使われているようである)、diphenoxylate-atropineと同様、スプーン1/4や1/2錠で致命的となると書かれている。


カゼピタン・ハップ も 同様のカンフル・ユーカリ油・l-メントールを含む。ただ、宣伝文句 「鼻づまり、くしゃみなどのかぜに伴う諸症状を緩和」・・・にという外的エビデンスは存在するのであろうか?



Potential Health Effects
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吸入:気道系への刺激となる。症状としては咳嗽、息切れなど
神経への影響にて、めまいからけいれん、暴露寮・期間によっては時に昏睡を引き起こす可能性有り


内服:胃腸管への刺激。吐き気、嘔吐、下痢
頭痛、気が遠くなる、チアノーゼ、低血圧、不整脈、けいれん
痙攣は突如起こることがある


皮膚接触:皮膚への刺激、症状は発赤、痒み、疼痛
急激に吸収して、吸入や内服と同じ状態を作ることがある。

眼への接触:刺激、発赤、疼痛

慢性暴露:肝臓・腎臓への障害の可能性
慢性暴露はReye症候群類似の症状を生じる可能性
有り

既往状態注意事項:神経疾患や肝障害がある場合は悪化を受けやすい




小さい子供をもつ親御さんは、インフルエンザをはじめ多くの感染症や、病院で出す薬剤にはとても敏感だが、テレビCMのCGにだまされ?て、以上の副作用の危険性を内在する薬剤を使用するのである。・・・矛盾を感じる。

そういえば、タミフルの異常行動と言われているなかにどれほどこの貼付剤使用症例がふくまれているのだろうか?

by internalmedicine | 2006-07-24 10:44 | 医療一般  

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