過体重・肥満若年者に対する糖負荷4種類の比較 Glycemic Index

Glycemic Indexの復習
glycemic index
炭水化物は全て単一に考えられていたが、果糖やショ糖のような分類法も使われたが、たとえば小麦食品などは複雑であり、単純化が難しい。
単数・複数の炭水化物を糖より血糖を増加させるかどうか、単純化したもの
【方法】50gの炭水化物と対象食品(白パンか純粋なブドウ糖)を異なる日に同量摂取させ、ブドウ糖測定のため前値と、食後数時間後の採血を行う。時間とともに血糖値をプロットし、このGIは対象食試験後の血糖カーブの下部面積であらわし、対照食を100とした時の比率である。
http://lpi.oregonstate.edu/infocenter/foods/grains/gigl.html




この指標(GI)に関しては、2002年、JAMAにReviewが掲載されている
JAMA. 2002;287:2414-2423.肥満に関して抜き書きすると
高GI食・食事後に、中期食後において、代謝的燃料そのものの量が減少することで、飢餓状態を増し、エネルギーホメオスターシス貯蓄への試みることとなる。
たとえば、ヒトやマウスでは、血糖の一過性の減少(自然の、あるいは、インスリンによる)により、空腹、食行動開始する。非糖尿病患者で、細胞内ブドウ糖使用を抑制する2-deoxyglucoseは空腹・食行動増加につながる。インスリン誘起性低血糖は遷延性の過食を生じる。
体重減少努力はこの状況を悪化させ、過体重患者のは高GI炭水化物のような低カロリーによる食後低血糖がその原因となる。
長期的トライアルはないが、短期・小規模のヒトデータや無数の動物データがある。
ラットでは、amylose(低GI) vs amylopectin(高GI)で比較、高GIにて脂肪蓄積(脂肪細胞の増加、脂肪細胞のグルコースの取り入れ、脂肪細胞内での脂肪酸合成酵素亢進、Glut4遺伝子発現増加が見られた、7週後、副睾丸脂肪mass増加し、32週後肥満となる。
ヒトでは、高GI(oatmeal)と低GI(steel-cut oats)を比較して低GIより高GI後が53%エネルギー摂取量が多くなった。


これだと低GI食が体重減少的に働きそうだ・・・

また、酸化ストレスとの関係も指摘されている。
高GIは酸化ストレスを生じやすい
American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 84, No. 1, 70-76, July 2006

・・・などと、低GIが良さそうだが、臨床的エビデンスに関しては未だ確定的なものは少ない。



食事の糖負荷を減少させ、GIを減少させることが体重減少へのアプローチとして提唱され、ランダム化対照平行トライアル12週間、24週間フォローアップにて糖負荷減・低GI低カロリー・ダイエットが果たして減量に有効かどうかの研究は明確な利益をもたらさなかった。
J Nutr. 2005 Oct;135(10):2387-91.

横断研究にて、男性では、GIや糖負荷量は食後血糖、空腹時インスリンの相関、筋内の脂肪厚の逆相関がみられるが、女性では明確な食後血糖との相関が見られず、他の因子は関連が見られなかった
American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 82, No. 3, 547-552, September 2005



今回のArchiveの論文は高炭水化物 vs 高蛋白と、高GI vs 低GIの4つのカラムで生化学などの指標を検討したもの・・・やはり高炭水化物・低GI食がよろしいようで・・・

Comparison of 4 Diets of Varying Glycemic Load on Weight Loss and Cardiovascular Risk Reduction in Overweight and Obese Young Adults A Randomized Controlled Trial
Arch Intern Med. 2006;166:1466-1475.
129名の過体重・肥満若年成人(BMI 25)を、低脂肪高繊維食のうえで、4種の低脂肪・高GI(Glycemic Index)食を割り当て

high carbohydrate (55% of total energy intake)
diet1:high GI
diet2:low GI


high protein (25% of total energy intake)
diet 3:high GI
Diet 4:low GI


体重、体組成、血中化学検査を研究

全グループは同様な減少 (diet 1 --4.2% ± 0.6%; diet 2, --5.5% ± 0.5%; diet 3, --6.2% ± 0.4%; and diet 4, --4.8% ± 0.7%; P = .09),

5%以上体重減少比率は食事により様々(diet 1, 31%; diet 2, 56%; diet 3, 66%; diet 4, 33%; P = .01).

diet 2、3(--4.5 ± 0.5 [mean ± SE] kg and --4.6 ± 0.5 kg) はdiet1 (--2.5 ± 0.5 kg; P = .007)より女性におけるfat mass 約80%減少

LDL 平均±SEはdiet 2群で有意に減少 (--6.6 ± 3.9 mg/dL [--0.17 ± 0.10 mmol/L])するが、diet 3群では増加 (+10.0 ± 3.9 mg/dL [+0.26 ± 0.10 mmol/L]; P = .02)

高蛋白・低GIレジメンともに、体脂肪を増加させるが、心血管リスク減少は高炭水化物・低GI食事が適しているだろう。






低GI、高炭水化物というのは、日本で今流行(本家は破産、低炭水化物ダイエット時代の終焉と書かれてるが・・・日本の馬鹿メディアと健康関連業者がtoo lateな情報でがんばってるのねん、酸素バー・マイナスイオンなんかと同様に・・・)のAtkinsダイエットと逆。
Atkinsダイエットに関しては、低炭水化物・高脂質食の健康被害と思われるケースを参考にしていただきたい。

by internalmedicine | 2006-07-25 12:11 | 動脈硬化/循環器

 

<< 冠動脈評価のための16row-... かぜ症状対策貼付剤の有害性の認... >>