冠動脈評価のための16row-MDCTは特異度が低く、検査のルーチン使用は容認できない
2006年 07月 26日
日本の医療の問題点は、他の分野の確立したものの導入は遅々とすすまないくせに、画像診断などは導入が早い。有力な日本の家電メーカーの存在がそれを後押ししているのだろうか?
検査に関して有力な武器をもつことは医療にとって悪いことではない。しかしながら、検査特性を無視して、医療機関が過剰なアピールを行い、患者説明に走ることを多く見受ける。
→ google (検索)にて各病院の説明に科学性があるかどうか・・・以下の論文を見た後、各自判断いただきたい。
Multidetector computed tomography (MDCT)が冠動脈狭窄検出のための非侵襲的方法として提案されているが、その科学的意義付けは不明であった。
非緊急冠動脈造影多施設トライアルにて、Garciaらは16row MDCTを50%内腔狭窄検出のため評価した結果、MDCTの偽陽性数・非評価部位から考えて、認容できないとのこと
Accuracy of 16-Row Multidetector Computed Tomography for the Assessment of Coronary Artery Stenosis
JAMA. 2006;296:403-411.
直径2mm超の非ステント血管1629で、187名の患者59名(32%)の89(5.5%)に血管造影にて50%超狭窄があった。
1629部位で71%をMDCTで評価可能。
評価不能部位をふくめて、部位検討だと、50%狭窄超の感度は89%、特異度は65%、PPV13%、NPV99%
患者ベースの検討だと、1つの陽性部位のある患者の感度は98%、特異度54%、PPV50%、NPV99%
評価不能部位を含めた全ての部位検討で、狭窄70%超の検知の感度は94%、特異度67%、PPV 6%、NPV99%
患者ベース解析にて、少なくとも一つの陽性部位を検知する感度は94%で、特異度51%、PPV28%、NPV98%
16Row-MDCT冠動脈血管造影は評価不能ケースが多く、かなり高い擬陽性率という2つの面で、限界がある。
故に、臨床的にルーチン検査に導入することを正当化できない。
ストレステストで結論が出ない、あるいは、擬陽性例で、冠動脈疾患除外のためにのみ有効と考えられる
PETを含め、患者というのは、高額な検査機器で検査されることで安心感をもつのだろうか?時には過剰なdemandを日常診療で見受けることがあり、これは、医師の個人的な信頼より、でっかい建物・豪華検査至上主義ってことだろうか?
運動ストレス試験ってのを評価基準としたところにこの論文のポリシーを感じる。
じみちな検査の王道を行なうのが先決であろうが、・・・医者も患者も、それを忘れている。
by internalmedicine | 2006-07-26 10:08 | 動脈硬化/循環器
