“高温環境障害”、“暑熱障害”

テレビというのは東京の環境だけで放送するから、西日本の猛暑に関してほとんど報道しない。日本人は東京だけでないのだ!

頭にきたから、ふたたび、熱中症関係・・・・

health-realed diseaseやhealth-related deathといった“高温環境障害”、“暑熱障害”<MeSH>
Heat Stress Disorders [C21.866.522]
- Heat Exhaustion [C21.866.522.250]
- Heat Stroke [C21.866.522.500]
と、書かれており、下部概念に熱疲労・熱卒中が存在するようである。

この高温・暑熱関係の疾病は、すっきりしない疾患概念
(暑い日が続きますが・・・:http://intmed.exblog.jp/3950978/

“慢性熱中症は熱衰弱症ともいい,高温環境の職場で,暑さのストレスの持続による生理的な衰弱が原因で発症する.症状はいわゆる「夏バテ」と同じことが多い”(臨床内科)などという混乱を深める概念も世の中には存在する。

たとえば、熱波(heat-wave)の定義は明確な定義が存在しない(http://ams.allenpress.com/amsonline/?request=get-abstract&doi=10.1175%2F1520-0450(2001)040%3C0762:OTDOAH%3E2.0.CO%3B2)らしい。ただ、「日最高気温が35℃を超す日が、5日以上連続する現象」(www.iae.or.jp/publish/pdf/2003-1.pdf )とするものもあった。NWS(National Weather Service)(http://www.nws.noaa.gov/om/brochures/heat_wave.shtml)のheat stressクライテリアに基づく定義が提案され、2日連続・日中高温・夜間低温の指数(Hi)閾値を超えるもので、大気音と湿度の組み合わせであり、身体的ストレス推定による指標である。
・・・しかしながら、これは世界中どこでも適応できるわけではない。
そこで、パーセンタイル閾値への指標がテストされている(http://ams.allenpress.com/amsonline/?request=get-abstract&doi=10.1175%2F1520-0450(2001)040%3C0762:OTDOAH%3E2.0.CO%3B2)


Medscape(http://www.medscape.com/viewarticle/541910)では、CDC・MMWRにて男性・心血管疾患患者において、heat-related deathのリスク増大とのこと
1999-2003年の死亡統計にて、“hyperthermia”による超過死亡、米国内では54%、3442名(年平均688名)と推定。男性で2倍多く、15-64歳で比率が多く(54%)、次に65歳(40%)、15歳未満(7%)との比率。心血管疾患が死亡原因として最も多く(57%)、アクシデント的な中毒・暴行(29%)、内分泌、栄養、代謝疾患など(3%)

戸外の激しい運動、不適切な水分量摂取、アルコール過飲を避けること、薄着、エアコン使用などを呼びかけている。特に、高リスクの乳幼児、高齢者、心血管疾患などの疾患を持つものに対して特に注意を。
CDCは、戸外にかかわらず、車や車以外の鍵のかかるスペースに子供を置き去りにすることを戒めている。(毎年の風物詩となったパチンコ屋駐車場の子供の一人置き去り熱中症は・・・今年はあまり聞かないが・・・ちょっとはマシになったのだろうか?)



4年前のものであるが、レビューが存在するが、性差などは若干異なるようである。
 ↓
Relation between Elevated Ambient Temperature and Mortality: A Review of the Epidemiologic Evidence
Epidemiologic Reviews 24:190-202 (2002)
・熱波中の温度と全原因死亡率はV字型の関係であり、呼吸器系死亡率が高い。
熱波中平均超過死亡12.1%増加する。(オランダの3シリーズ研究)
・98度Fを超えるとと28.4%総死亡率増加、特に75歳超の女性
湿度が大いに関係する(スペインマドリードの3シリーズ研究)
・106度F超えると51%の死亡率増加、CVDおよび女性に影響が大きい
(スペイン・Seville)


【リスク要因】http://epirev.oxfordjournals.org/cgi/content/full/24/2/190/MXF007TB1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1)個人特性:
 高齢(65歳、75歳などの目安)、性差(男女差にそれぞれにばらつき)、人種差(社会的環境に関連?、非白人に多いとの米国の報告、ヨーロッパでは人種差はっきりせず)

 体温

 移動能力:寝たきり(persons confined to bed):自己水分補給能力や自己ケア能力

 独居

 基礎疾患:虚血性心疾患、呼吸器系疾患、精神疾患

 薬剤服用:(メジャー)トランキライザー

2)最大大気温からのlag time

3)地理的要因:
  都市部居住者、ビル居住
  
  ※エアコン・樹木ある環境はリスク軽減

4)Lag times:
  高温時から数日後の死亡率増加
  長期間(3週超 )死亡率、特に心筋梗塞、卒中、肺炎に大きな影響を与える(特に老人)
  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



2つの指標が高温・熱暑危険性に関して有用とのこと

Two indices are available to aid physicians in evaluating heat danger. The National Weather Service has produced a
Heat Index chart(National Weather Service):http://www.crh.noaa.gov/pub/heat.htm.


Wet Bulb Globe Temperature Index(U.S. Armed Forces):http://www.usariem.army.mil/heatill/appendc.htm)
: http://hsc.usf.edu/~tbernard/HollowHills/WBGTInstr10.pdf

後述のものは軍隊のもので、おなじみWBGT・・・日本の熱中症予防情報に使われている。(http://www.nies.go.jp/wbgt/note.html)




AFPの治療に関してまとめてみる・・・
【熱疲労】
・まず行うべきは冷所への移動
・熱卒中との区別を行う
・皮膚浸潤による蒸泄冷却
・電解質状態と核温度測定モニタリング
・脱水顕著な場合、低ナトリウム、意識状態、中枢神経系興奮を有している場合は必ず医療機関へ
・ナトリウムを含むORSは軽度脱水にて有用
・生食によるナトリウム補充は徐々に行うべきで、血中ナトリウムを約2.5mEq/L/時間以上にならないように緩徐におこない、central pontine myelinolysisに注意。
・熱疲労の症状は2-3時間でしばしば自然回復する。回復遅れる場合はやはり医療機関へ搬送し、誤診無きようにすべき

【熱卒中】
・高熱状態をまず適切に除去することが治療のcornerstone
・疑うべき場合は、冷所、影のあるところへ、そして、鑑別診断できる医療機関へ迅速に搬送すること
・迅速かつ有効なクーリングが重要であり、搬送中からクーリングを行うべきである。
体外クーリング:evaporate method/immersionクーリング。

evaporative methodとは、15℃のミスとを患者の皮膚にスプレーし、一方で体外へ45℃の暖かい空気をファンで当てる。冷却速度は分あたり0.31℃とする

immersion coolingは氷浴、もしくはアイスパックを腋・股間、首、頭に当てて、クーリング・ブランケットを用いるものであるが、evaporative methodに比べ効率が悪い。
マッサージのより回復するが皮膚温度が30℃を下回ると末梢血管収縮、震えが出現する。さらに氷浴は患者のアクセス困難となり、ダイビング反射などリスクがある。しかし、皮膚露出困難などの文化がある場合は適切な場合がある

 体内冷却:胃、膀胱、肛門への冷水潅流は侵襲製が少ない。腹腔・胸腔潅流が極端な場合行われることがある。心肺バイパスも稀だが有効な方法

・生化学などの採血を行い判断を行う。

・熱卒中の場合、薬物の効果は少ない。
 ベンゾジアゼピン系筋弛緩剤、chlorpromazineなどの向精神薬が震えや痙攣を抑えるため用いられることがあるが、臨床的なトライアルは行われてない。
dantroleneは核温度を下げるためには無効
解熱剤は理論的に有効かもしれないが、評価されていない。
一度38℃まで核体温がさがったら、クーリング中止し、厳格なモニタリングを行う

by internalmedicine | 2006-08-02 12:16 | 医療一般  

<< 酸素入りの水 インフルエンザ2006 >>