胸部レントゲンにてBRCA 1/2患者では乳癌リスク増大
2006年 08月 04日
Journal of Clinical Oncology, Vol 24, No 21 (July 20), 2006: pp. 3361-3366
乳癌リスクの大きいBRCA1、BRCA2遺伝子を有する女性に関して、コホート研究の結果、胸部レントゲン被曝の乳癌リスクはハザード比[HR] 1.54(p=.007)で、40歳以下の女性(HR 1.97 p<0.01)、1949年以降の女性(HR 2.56 p<.001)、特に20歳以前に暴露された場合(HR=4.64 p<.001)で増大。
結核患者のうちの乳癌頻度増加の報告(RRFCXR Fluoroscope - RADIATION RESEARCH, 1991(pdf)
そもそも術前(Canadian Journal of Anesthesia, Vol 40, 1022-1027)やICUのルーチンのレントゲン検査はcost-savingにならないという報告(Critical Care Medicine. 25(5):801-805, May 1997.)もある。
術後やICU合併症に異常なまで責任追及される日本では、非常識な司法判断により。医学的合理性までふっとんでしまうので、公衆衛生的な合理性より、合併症リスクによる訴追回避に向かっているという日本・・・情けない限り、こんどは、乳癌患者がレントゲン撮影したから・・・と訴訟しそうな・・勢い
遅ればせながら、職場の定期健診で年1回行われている胸部エックス線検査について、厚生労働省は21日、対象を原則40歳からにする方針が示されている。
日本の年間被爆頻度最も多く、75歳での癌の累積リスクが3%超と推定(UK 約0.6%、発展途上国0.6%-1.8%)
The Lancet 2004; 363:345-351
(原図一部改変)
以上の図を見て分かるとおり、1年1回の検診が日本の放射線被曝をかさ上げしているとも想定される。やっと年齢によるリスク層別化指針ができそうなのだが、今後はさらなるリスク群層別化が必要と思う。
by internalmedicine | 2006-08-04 12:16 | 医療一般