院外心停止患者蘇生中止基準:Recognition of Life Extinct (ROLE)

院外での心停止患者に関する蘇生中止基準 の 妥当性評価した論文が発表された。

心肺蘇生中止の基準は、たとえば、Recognition of Life Extinct (ROLE)ガイドライン(Recognition of Life Extinct (ROLE) guidelines(pdf))では、“20分超の完全なALS施行に関わらずasystoleが継続する場合蘇生は終了すべき”と述べられて、(2005年AHAガイドラインでは“不可逆性である死を示す信頼できるクライテリアが存在する”まで、蘇生努力は継続すべきというステートメントが示されている。前者の、ROLEガイドラインでは医療従事者のより広い選択肢の裁量(do for the use of judgment by the medical personnel involved)とされ、その自由度ゆえに適応が難しい事態に陥っている。

(日本においては、行政・司法・メディア・患者各位が、医師の自由裁量を認めない方向のため、さらにガチガチに保身的な医療を行わざる得なくなっている。四方八方から、真っ当な医療のできない日本に・・・)


さて、今回は、院外での心停止患者に対して、どこまでも全例心肺蘇生をするかという問題。


院外での心停止の平均生存率は低い、特にパラメディカルによるACLSに反応しない場合特に低い。後顧的研究により院外での蘇生中止基準を作ろうとする試みは、かつて、いずれも失敗の終わっているとのこと。

ところが、最近以下の主張が出現した。
体外除細動使用によるEMTsでのBLS訓練者による終了ルールだと後顧的研究にて退院時生存予測感度100%であったとのこと。そして、NEJM Volume 355:478-487 August 3, 2006 Number 5にて、EDへの搬送推奨に関する特異度90.2%、中止推奨の死亡予測PPVは99.5%

このルールを用いれば、100%→37.4%と搬送比率を減少できる。

このルールとは
1)自発的循環回復なし
2)ショックが与えられていない
3)心肺停止がEMSスタッフにより確認されてない
以上がすべて存在するときに、心停止病院受診前患者において蘇生中止を考慮する条件とする
ほかのすべての患者は蘇生継続しもっとも近いEDへ搬送すべき




“TOR guidelines of Morrison”と呼ばれるものである。

TORガイドラインが確定的なものかというと、
1)spontaneous circulaitonの改善しないとはどういう意味なのか、どの程度の蘇生努力がなされていたのか、どのような技術がなされていたのか、2)低体温状態や若年児などのほかの要因を斟酌しなくてよいのかという疑問があるとのこと



現在、人工呼吸の中断などが市井の話題になっている。医療というのは終末期医療に限らずあいまいなところがある一方、市井の議論はわずかな例外もその存在を許さないということで、無為な刑事訴追・民事訴訟が行われていると私は考えている。

日本では、今、トリアージの概念は一般に 受け入れられているのだろうか?
しばらく前テレビドラマである、Drコトーでは院内トリアージが結果的に離島へ行くというエピソードにつながっていたし、救命病棟24時ではトリアージに対してエリート医師の特異的知識のごとく扱っていた
医療関係者では話題になっている、社会的常識や知識を持たない司法関係者の存在が、奇異な判断を下し、こういった基準作成にまで悪影響をあたえかねない・・・状況であるが・・・


あの毎日新聞(“風の息づかいを感じていれば、事前に気配があったはず”という主張をおもちの新聞社)は、今回、“究極の判断、現場任せ 医師不起訴 北海道・道立羽幌病院の呼吸器外し”という記事の中で、“究極の判断、現場任せ”と批判する(・・・馬鹿かこの新聞社・・・現場でこそ判断すべきもの)。

<注>
emergency medical services (EMS)
emergency medical technicians (EMTs)

by internalmedicine | 2006-08-05 11:02 | 医療一般  

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