高血圧性心疾患心筋は、エネルギー源の転換スイッチがうまく働かない
2006年 08月 07日
動物実験で、肥厚した心筋マウスで脂肪酸のtransportingとbreaking downが正常以下になることが示された。
今度はヒトを対象とした研究で、左室心筋の肥厚を有する高血圧患者で、MRを用いて肥厚心筋が収縮能の安静時軽度低下と運動時のエネルギー効率の低下を示した論文。
正常心筋は脂肪と炭水化物を燃料として用いてるわけだが、高血圧の左室肥大患者では、血糖が低下したときに働く、炭水化物→脂質利用スイッチがうまく働かなくなるということ。
Hypertensive left ventricular hypertrophy is associated with abnormal myocardial fatty acid metabolism and myocardial efficiency
Journal of Nuclear Cardiology 2006; 13(3):369-77
心筋脂肪酸(FA)代謝と左室量を13名の高血圧左室肥大患者(EF正常)と正常対照42名を比較。
収縮能を5名の高血圧LVH患者と5名の対照で行った(MRサブスタディー)
心筋FA利用(MFAU)と心筋酸化(MFAO)を [1-carbon-11]パルミチン酸を用いたPETで評価
心筋収縮能(strainとstress)を心臓MRイメージングにて決定
プリマリ・コホートの結果としては、減少したMFAOは左室量増加の推定となる (model r2 = 0.61, P = .03)とのこと
MRサブスタディーでは、高血圧性LVH群のMFAO減少(心筋酸素消費量補正)は、正常群と異なり、心筋external minute work減少( P = .07)や心筋効率減少(P = .03)と比例して、相関する。
糖尿病の心臓筋肉は主に脂肪に依存している。脂肪は効率的な燃料だが、エネルギーのためそれを燃焼することは、酸素の尋常でない消費をもたらし、冠動脈のblockageを生じる。
Washington大学の研究グループは、高血圧による筋肥厚を有する心臓は脂肪利用と反対方向にゆがめられることを示した。
高血圧患者のすべてが心肥大進展するわけではないし、肥大患者の全てが長期的に問題となるわけではない。
by internalmedicine | 2006-08-07 11:26 | 動脈硬化/循環器