脳脊髄(せきずい)液減少症

<髄液漏れ>子供の症例次々明らかに 「苦しさ分かって」
激しい頭痛などを伴う「脳脊髄(せきずい)液減少症」のため、勉強やスポーツができない小中高校生の存在が次々と明らかになっている。症状のひどさや将来への不安、教師らに理解されない絶望感……。「自殺を考えた」と話す子どももおり、事態は深刻だ。ある母親は先月、厚生労働省と文部科学省の担当者に面談し、髄液漏れの子どもたちへの支援を訴えたが、国の対策はまだ本格化していない。(毎日新聞 H18.8.8



素朴な疑問なのだが、外国では非常に稀とされるSpontaneous Intracranial Hypotensionが日本ではなぜ多く報告されてるのだろう?

頻度推定は年10万人5名程度で、40歳ピークとのこと。そして、しかも、女性のほうが多く、髄液の漏れによる結合組織疾患によるものが多い。起立性頭痛が典型的な症状だが、ほかの頭痛パターンも多く、関連症状も多い。(JAMA. 2006;295:2286-2296.

上記新聞の記載例と、欧米と新聞で見る臨床所見が違いすぎる。いくら誤診が多いといえど、この人口比の疾患頻度ではインパクトが少ないとおもわれる
“学校の現場で広がる・・・”など根拠無きいつもの毎日新聞らしいセンセーショナリズム記事なのか?

このように小児事例として報告されているのは、まだ、稀であるからであろうに・・・


臨床的な所見、レントゲン所見の範囲がばらばら・・・というJAMAの総説
“The spectrum of clinical and radiographic manifestations is varied”


専門領域外なのであんまり無責任なことはいえないが、先走っているという気がする。


Spontaneous intracranial hypotension: a recent indication for epidural blood patch
Buguet-Brown et al. Br. J. Anaesth..2006; 96: 668-669


Spontaneous Cerebrospinal Fluid Leaks: From Intracranial Hypotension to Cerebrospinal Fluid Hypovolemia—Evolution of a Concept
Mayo Clin Proc. 1999;74:1113-1123

・髄圧減少は不適当で髄液(量)減少症(CSF hypovolemia)とすべきとも述べられている。

【Gadolinium-enhanced coronal magnetic resonance image (MRI)の“diffuse pachymeningeal gadolinium enhancement”所見】


Cerebrospinal Fluid Hypovolemia—Clinical-Imaging Syndromes
Type I (classic form): H/A, DPMGE,±SB,±SDFC, low CSF pressure
Type II (normal pressure): H/A, DPMGE,±SB,±SDFC, normal CSF pressure
Type III (normal meninges): H/A,±SB, low or normal CSF pressure, absent DPMGE
Type IV (acephalgic): low CSF pressure, DPMGE,±SDFC, absent H/A

*CSF=cerebrospinal fluid; DPMGE=diffuse pachymeningeal gadolinium enhancement; H/A=headache; SB=sagging brain; SDFC=subdural fluid collections.




eMedicineの記載では、MRIの特異度100%・・・というあり得そうもない記載



疾患概念、診断・治療に関して、議論の多い分野に早期にマスコミが一方的に示威ある報道を行うというのは、是か非か?・・・そういう面で私はみているが・・・

ref.)
むちうち≠ 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)と思うのだが・・

by internalmedicine | 2006-08-08 16:30 | Quack  

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