体重増加と寿命:overweight(過体重)も寿命短縮
2006年 08月 24日
そして、BMI=22を金科玉条の如く守っているが・・・それも再考が必要と思う。
NEJMにて、過体重を含めた体重超過の死亡リスクに関わる2つの論文。
実質的な疫学的エビデンスにより、肥満(BMIで定義)は死亡リスク増加と関連。しかし、過体重(BMI 25.0-29.9)は死亡リスク増加についてまだ確立していない。
過体重と死亡率の相関が現行の問題点となっている。
◆ 約50万人に米国・男女(NIH-AARPコホート)の結果
NEJM Volume 355:763-778 August 24, 2006 Number 8
50-57歳で、男女とも、死亡リスクは、過体重・肥満ともに、BMI増加とともに増え、健常者、非喫煙者でも死亡リスク増加する。過体重を含めた体重増加は死亡リスク増加と関連。

◆ 韓国のNational Health Insurance Corporation・・・そこの12年間の前向きコホート研究で、全原因死亡率とBMIの“J字型”関係判明。
年齢、性別、喫煙でその関係が変わる
男女とも、平均BMIは23.2で、全原因死亡率はJ現象をとる。BMI 23.0-24.9で最も低く、呼吸器原因の死亡率はBMIの低い患者で高い。動脈硬化性疾患の死亡リスクや癌ではBMIが高い患者でリスクが高い。年齢とともにBMIの影響は減弱する。
NEJM Volume 355:779-787 August 24, 2006 Number 8

肥満(BMI ≥30 kg/m2)と死亡率増加に関して一般に認められているが、overweight(BMI 25-29.9)に関しては不明であった。上記米国の大規模研究、50万人超の対象者にて、自己申告身長と体重で検討。喫煙の影響が大きく、非喫煙者だけに限定した検討もなされた。BMI 23.5-24.9を標準として用いると、非喫煙者では過体重にて1.4、高度肥満(BMI 35-39.9)では1.9の死亡相対リスク。50歳時点の自己申告BMI解析にて、過体重・肥満非喫煙男性においてやはり死亡相対リスクが高い。女性でも同様の傾向。
男女とも非喫煙者に於いて参照標準値より低いBMIにて死亡率の相対的増加が見られた。この関連は慢性基礎疾患なしの人たちでも同様。(Journal Watch)
喫煙習慣、体重超過の層別化が必要なようである。
by internalmedicine | 2006-08-24 10:15 | 医療一般