ばかな新聞社がまだ存在する
2006年 09月 11日
検査や診療を重ねるたびに報酬が増える現行の出来高払い制度は、医療費の無駄遣いを招きやすいとされており、高齢化が一段と進む中、包括払い導入で増え続ける高齢者医療費を抑制し、併せて患者負担の軽減を図る狙い。
早ければ来月にも社会保障審議会に特別部会を設け、専門家らによる議論を始めたい考え。ただ医師の収入も抑制されることになるため、日本医師会などの反対が予想され、結論が出るまでには曲折も予想される。【75歳以上の医療費 病状に応じ定額に】(東京新聞)
【定額制に関する弊害】
1.質低下
定額制は医療の切り捨てであり、“部分的乳母捨て”なのである。実質的にメディケアへの移行を日本政府は急いでいるのである。
この制度の下では、患者1件当たりの診療報酬は、診療時間等の診療の質に関わらず一定であるために、出来高制とは逆に患者一人当たり治療時間等が非常に小さくなり、したがって診療の質的水準が最低になる傾向があります。
2.Baysian推定から成り立つ医療において結果論的診療・診断名包括は決してフィットしない。
フィットさせるためにはいろいろ工夫が必要となるだろう・・・
咳が2週間以上続いて、朝方とくに調子が悪い・・・
1)かぜが長引いたものと判断して、診察のみで処方せず返す
2)夏型過敏性肺臓炎を疑い、血清検査を含む採血、胸部レントゲン、呼吸機能、動脈血ガス、胸部CTなど
以上の診療パターンがあったとする。
完全な定額制なら経済的なインセンティブは前者を撮ることとなるだろう。おそらく後者を選択した場合は5-10万円程度医療機関の手出しとなることになる。
なにを意味するかというと、定額制を厳格にひけば医療の質低下はさけられないし、おそらく、コストの高い検査は市井から消失していくこととなるだろう。日本の医療のパフォーマンス低下にもつながることとなる。
3)定額制による包括的な医療費の制御のしやすさこそ・・・行政のねらい
行政の独断で定額支払いがきめられる。そこの日本の行政にEvidence-basedはない。
リハビリテーションの対象病名を決めるときに前日に専門家に電話し、翌朝にFAX返答を求めたのが今回の4月の改訂である。思いつき行政なのである。それでいままで多くの厚労省施策がきめられてきたことか・・・。現場のコスト、それのパフォーマンスを無視した独断・・・それがますます増長するのである。結果、そのツケは利用者=患者、およびコスト負担を強いられる医療事業者たち・・・医療崩壊への筋道
入院という形態ですでに定額制が導入されている。だから、外来でも導入は不可避であろうというのが一般的な見方と思う。
だが、そうはいかない、入院定額制は、より高いレベルで設定した場合の導入例なのである。外来の包括定額は、低いレベルでの導入になる。たとえば、老人においてC型慢性肝炎のインターフェロン導入はまったく不可能となり、外来癌治療も制限され、リハビリテーションの回数も制限されるだろう。・・・東京新聞はそれもすべて医者が悪いというのだろうか?
Webをみていると、Baysian推定を理解せず、最初から診断が確定的にできるということを前提に話を進めている“医療経済専門家”が存在し、それが、経済界の意図なのか、世論のミスリードを生じている。かれらの意見のみを鵜呑みして、医療に関する邪推や背後の利益のみで世相を作ろうとする新聞社。
自社利益のために日本の医療を悪くしようとする会社の製品を不買してなにがわるいのだろうか?
心ひとつに日本の医療を良くしよう −医師会団結のために−
【新聞社の横暴追加編】 新聞販売店は新聞社のおもちゃか
http://vcl.vaio.sony.co.jp/support/pcom/pcv-rz60.html
最近の経団連会長は、つぎつぎと、自分の疎い分野に対して、適当な発言を繰り返しているようである。御手洗さんは確か内視鏡と関連が深いのでもうちょっとまともかと思ってたが・・・地域医療の実態が分かってないようである。長崎大学以外の九州の医学部はキヤノン不買を行ってはどうか?
九州でいえば、九州大学には法学部と経済学部、熊本大学は理工学部、長崎大学は医学部といった具合に集約して、全体として大九州大学をつくればいい(=2006/08/24付 西日本新聞朝刊=)
by internalmedicine | 2006-09-11 12:29 | Quack