ジェネリック主流なのは・・・世界でもごく一部の国?

医事新報という雑誌に以下の投稿があった。

大阪赤十字病院院長本田孔士先生の執筆とのこと・・・その中で
健康保険米加人者が多く、一流メーカーの薬が買えないとか、ジ ェネリックを扱う会社の規模が大きくMRを抱えている欧米と日本の社会的背景の違いを全く説明せず、「欧米(実際は一部の国)では よく使われているから」という断片的情報のみで、あたかも先発品と全く同質の薬であるかのような誤解を容認している日本の現状には問題がある
という文章


で、各国のジェネリック薬品比率を調べてみたら・・・驚き!


ドイツ   41%
米国     40%
スウェーデン 39%
デンマーク  22-40%
イギリス   22%
オランダ   12%
フランス   3-4%
イタリア   <1%
スペイン   <1%
ポルトガル  <1%
Health & Pharma Wednesday 13 September 2006



・・・なんと、ジェネリック薬品比率が多い国というのはドイツ・米国・スウェーデン程度・・・これらの国は特殊な国なのである。


テレビなどで、“まるで全世界ジェネリックが主体で、日本だけが遅れている”というようなイメージが流されている・・・まさにミスリーディング!

そういやぁ・・・テレビでは、ドイツばかりを強調しており、世界的にジェネリックが主というわけでもないということは無視されているのである。


さらに先生のご意見が続く・・・
テレビのコマーシャルでも、「料金が半額で、しかも先発品と同じ効き目なんだってね」と患者さんに言わせているが、 本当に「同じ効き目」が実証されたのだろうか。

 これは、「同じ効き目が推定(予想)されているんだってね」の誇大広告ではないのか。たとえ先発品と同じ主成分を含むとしても、同じ治療効果が正確な治験にって十分に証明された上でのことなのかを問いたい。 同じ成分、同じ溶出率だから同じ効果があると、一概に言い切れないのが薬である



ジェネリックの定義:

Q:ジェネリック医薬品って何?
A::新しい有効成分を含む医薬品を「先発医薬品」と呼ぶのに対し、先発医薬品の特許が切れた後に他の製薬会社が販売する「同一有効成分、同一投与方法、同一用法用量、同一効能効果」の製剤を「後発医薬品」又は通称として「ジェネリック医薬品」と呼んでいます。
(参考pdf



「同一有効成分、同一投与方法、同一用法用量、同一効能効果」であると厚労省が認めているから、同じ効き目として宣伝してもJAROに投書されることなく、どうどうと放映されているのである。

厚労省に同一効能効果立証責任があると私は考える。いい加減な役所だから、どうせまた無視するのだろうが・・・


先の本田先生は
先発の会社は主成分構成以外の、例えば「製造技術」で、後発メーカーに知らされてない何かを持っている場合がある。 医薬品にも、その成分はわかっても、例えば溶媒の質や作り方の手順に妙があったり、他者にはなかなか同じものが作れない製造技術が隠されている場合が、すべてとは言わないが、ある。 同じ器械を使い、同じ手順で手術をしても結果は必ずしも同じではなく、その過程に言葉では伝わらないノウハウがあるのと同じであ る。料理でも、同じレシピ、同じ手順で作っても、名人と素人で味は決して同じではない。
と述べている。


これでも、厚労省は同一と見なしているのである。

一般臨床医が一番気になること!・・・
日本のジェネリックを扱う会社は、医療者に対して、先発品の会社のようなMRによる情報 提供や副作川モニターシステムを持っているようには見えない。少なくとも、日本では現在、そのような状態で流通している薬であるという情報を、ユーザーである患者さんに十分に知らせた上で、どうするかを尋ねるべきである




私たち医者は、一般のジェネリック専門製薬会社のMRをみたことがない。

安全性情報努力を割愛・省略することにより、先発より3割ほど安くしているのである。

by internalmedicine | 2006-09-13 16:16 | メディア問題  

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