C型肝炎キャリアの管理

肝炎ウイルス検診で見つかる全国200万人以上のHCVキャリアの管理が問題となる。

肝炎ウイルスキャリア 診療の手引き(PDF)を参考(※注意<この記事最下段>)にしたのだが、それによると、
初診時、基本健康診査の結果を参考にして、理学的検査、肝機能検査を実施してください。
・引き続き血液検査を定期的に行ってください。
・少なくとも年に1回程度は肝臓専門医へ紹介するなどして、精密検査を勧めてください。
・初診時の理学的所見、検査値等に異常を認めた場合は、直ちに肝臓専門医へ紹介してください。
・以後は肝臓専門医との連携のもとに治療、経過の観察等を行い、定期的に病期の判定、治療方針の検討を行ってください

とのこと。


ただ、今回のJournal Watchによれば
ALT正常であり続けるHCV陽性患者はALT高値患者に比べ肝疾患進行緩徐という小規模の研究程度で、まとまった研究は少ないとのことで、上記手引きの科学的エビデンスはどこからでたのか、コンセンサス・ベースの話のような気がする。

異なった研究デザインの2つの研究で
やはり、肝生検は、治療decisionを決める上で役立つ。正常肝機能といえど、フォローアップが重要
長期的に肝酵素が正常なら、組織学的に異常が進展することはまれ

とのこと。

具体的に・・・

イタリアの研究(J Viral Hepat. 2006 May;13(5):290-6.)では、40名のALT増加群と24名の正常群を比較(ベースラインで生検、10年後ALT正常)。
免疫学的相違が、肝組織PCNA(proliferating cellular nuclear antigen)値・リンパ球のインターフェロンγ産生などで評価(0,5,10年)
初期4年で正常ALT値の22%が増加、他の対象者は増加認めず。
性別が有意な相違因子であり(ALT増加:男性60%、ALT正常:37.5% P<0.05)
組織学的に、ALT増加群は正常ALT群に比べベースライン時の線維化・脂肪肝の程度が高かった。
免疫学的に正常ALT群よりALT増加群でPCNA値は高い。
フォローアップ期間にて、持続性の正常ALT値は組織学的な進展、免疫学的な変化を示さなかった。


3つの早期RCTトライアルから得られたデータで、肝酵素正常・増加した2473名のHCV陽性患者の臨床的、ウィルス学的、組織学的研究を評価した研究(Clin Gastroenterol Hepatol. 2006 May;4(5):645-52.)では、
女性では、正常ALT患者/高値ALT患者比率が高い。
正常ALT軍艦患者はALT上昇患者に比べて組織学的ダメージがmild(P<0.01)、正常ALT患者の10%はbridging fibrosisをbaselineで有する。
72週フォローアップされた68名の正常ALT患者で53%が肝酵素増加する




HCVキャリア初診時の検査項目

!. ALT, AST
2. LDH
3. ALP
4. γ-GTP
5. WBC, RBC, Plt
6. HCVジェノタイプ(保険適応外)
7. HCV-RNA定量(ハイレンジ法)


HCV-RNA定量はハイレンジ法に限定されていたのは知らなかった・・・検出感度から言えばオリジナル法が高いし、ウィルス量がむちゃくちゃ多い場合は従来法が良いと思うので、中途半端と思っていたのだが・・・



※注意 <訂正・追加(H18.9.15 pm2:55>(ご指摘感謝)
C型慢性肝炎治療ガイドライン2006(厚生労働省治療標準化研究班)
血清ALT正常C型肝炎症例に対する抗ウイルス治療ガイドライン

          血小板15万以上       血小板15万
                         未満


血清ALT値   2-4ヵ月後とにALT測定   可能なら肝生検
30以下     ALT値が異常値になったら F2A2以上は考慮
          抗ウイルス療法を考慮    不可能なら
                        左に準ず

血清ALT値   65歳以下は抗ウイルス療法   慢性肝炎治療に
                       準ず
31-40 

by internalmedicine | 2006-09-14 11:56 | 消化器  

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