花粉症:CpGDNA抗原療法:AIC (Amb a 1 Immunostimulatory Conjugate)の治験結果
2006年 10月 05日
CpGDNA抗原療法:AIC (Amb a 1 Immunostimulatory Conjugate)の治験結果がNEJMで公表された。
治験としては、DNA Vaccine for Ragweed Allergic Adults ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00346086
DNAワクチンとやらは、どうもわかりにくいが、漫画で説明されている。
マンガ ライフサイエンス DNAワクチン(PDF)
・・・Th2抑制的であり、免疫上好都合でもあるわけだ・・・
Immunotherapy with a Ragweed--Toll-Like Receptor 9 Agonist Vaccine for Allergic Rhinitis
NEJM Volume 355:1445-1455 October 5, 2006 Number 14
標準的アレルギー免疫治療は、1911年導入以来アレルギー専門家の治療オプションの礎石であり続けている。
しかしながら、このアプローチは、アナフィラキシーを含めた全身性のアレルギー反応を引き起こすおそれがあるため、限界がある。
さらに、標準的アレルギー免疫治療は、3-5年という期間の長さ、定期的な頻回投与が必要なこと、コンプライアンスが問題となることなど理論的に実行困難な治療法である。
スギ花粉CpGワクチンは、もともと細菌などの微生物に由来するDNA断片(非メチル化CpGモチーフ)が免疫細胞を強く刺激する作用があることを利用して、これにスギ花粉アレルゲンの主要タンパク質であるCryj1およびCryj2を結合させたものを投与して、スギ特異的なTh2細胞を抑制しようとするものである。
この免疫刺激性のSequenceはTLR9(toll-like receptor 9)に結合し、主に形質細胞様樹状細胞で発言し、Th2細胞を介する免疫応答を抑制することとなる。加えて、花粉にアレルギーのある患者PBCをAmbに暴露し、in vitroでのAICはTh2サイトカインであるIL-4、IL5が減少することもあり、治療の可能性が示唆されている。
ランダム化二重盲検、プラセボ対照、第2相トライアル
花粉へのアレルギーを有する25名の成人
AIC(Amb a 1, a ragweed-pollen antigen, conjugated to a phosphorothioate oligodeoxyribonucleotide immunostimulatory sequence of DNA) 0.06、 0.3、 1.2、 3.0、 6.0、12.0 μgでプラン化、6回週毎に注射
ワクチン関連全身反応、臨床的有意な検査値異常のパターンはなく、AICはプライマリエンドポイント、すなわち、鼻暴露試験による血管透過性反応(鼻ぬぐい液中のアルブミン値により測定)は変化無かった。
初回の花粉症シーズンにおいて、AIC群はピークシーズンの鼻炎VASスコア改善(P=0.006)、ピークシーズンのレンジ部鼻症状日誌スコア改善(P=0.02)、シーズン中間の概括QOLスコア改善(P=0.05)
AICは一過性の Amb a 1特異的IgG抗体を増加するが、季節性のAmb a 1特異的IgE抗体は抑制する。
AIC治療患者におけるIL4陽性好塩基球数減少は鼻炎VAS低下と相関 (r=0.49, P=0.03).
AICの臨床的効果は、次の花粉症シーズンでも見られ、ピークシーズン鼻炎VASの改善がプラセボ比較で有意(P=0.02)、ピークシーズン日常鼻症状日誌スコアの改善も有意(P=.0.02)
シーズンの特異的IgE抗体反応は抑制され、IgE抗体titerの有意な変化がみられなくなった。
by internalmedicine | 2006-10-05 16:15 | 呼吸器系