糖尿病患者は核攻撃を行うのか?

以下の記事は、実は現政権の本質を表しているとも思っている。

「糖尿病だから」核攻撃も 核保有議論を重ねて主張
 自民党の中川昭一政調会長は20日夜、静岡県浜松市内で講演し、北朝鮮による日本への核攻撃の可能性に関し「普通はやらないが、あの国の指導者はごちそうを食べ過ぎて糖尿病ですから考えてしまうかもしれない。広島、長崎に続く第3のどこか(が被爆地)とならないようにしなければならない」と述べた。
 これに対し民主党幹部は「与党の政策責任者として不適格」と指摘、糖尿病患者団体も「糖尿病を“ぜいたく病”“金持ち病”というのは偏っている」と批判している。日経新聞 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20061021AT3S2002420102006.html



一般的に20%の頻度であるが、糖尿病患者では

うつ(41.3% 95%CI 37.4-45.2%)
不安(49.2% 95%CI 45.3-53.1%)


・・・と多いとのことだが、糖尿病患者で攻撃性が増すとは聞かない。


それにしても、自民党も、品のない政調会長を選んだものだ。


だが、これは、もっと根の深い問題であり、生活習慣病の保険負担を、個人の責任として、引き下げようとしていることと符合した発言であろう。

生活習慣病=完全自己責任論

厚労省OB非臨床系教授が、生活習慣病患者の自己負担増を提言しているのである。
新しもの好きの偉い先生たちと役人どもが、これを縦に生活習慣病全般を医療保険制度から排除しようとする動きとつながっている。(メタボリックシンドロームの危うさ・怪しさ)


品のない政治家の単なる失言でなく、自民党そのものの姿勢を表している。

生活習慣病が単なる個人の怠惰、過食で生じるものではないことをまともなひとなら理解していると思う。


【参考文献】
Levels and risks of depression and anxiety symptomatology among diabetic adults.
Diabetes Care 1997; 20: 585-590.


Joint psychological medicine-diabetes clinic: new specialist service.
Diabetic Med 1998; 15 (suppl 2): S45.

by internalmedicine | 2006-10-21 12:12 | 動脈硬化/循環器

 

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