好気的運動は継続が重要、中止後4週間は心臓にとってかえってまずい

どうも心臓のためには、継続的な好気的運動が必要なようです。心筋細胞容量が維持するため、運動の中止はまずい。2週間後半分に、4週間後ほぼもとにもどるが、心筋細胞の減少を凌駕してしまう(虚血の可能性!)


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Aerobic Fitness Is Associated With Cardiomyocyte Contractile Capacity and Endothelial Function in Exercise Training and Detraining
Circulation. 2004;109:2897-2904.)
高レベルの負荷制御トレッドミル走行後の、時間依存的な要素が、心筋細胞の次元、収縮能、VdotO2maxを成人ラットで評価。2,4,8,13週、その後の2,4週で評価。
トレーニング中の心筋細胞長、弛緩、短縮、Ca2+ decay、推定細胞容量はVdotO2maxと相関(r=0.92, –0.92, 0.88, –0.84, 0.73; P<0.01)。
多変量解析で、VdotO2maxの説明変量として心筋細胞長、弛緩、Ca2+ decayが検出された(R2=0.87, P<0.02)。
トレーニング中止後、運動取得VdotO2は2週間後50%減少、4週後は、トレーニングしない対照より5%程度増加にとどまる。
心筋細胞サイズはVdotO2maxと比例、sedentaryに比べ9%増加を維持。心筋短縮、収縮/弛緩、Ca2+一過性時間経過、内皮細胞依存血管拡張などは2-4週間で完全に消退。
心筋長、推定細胞容量、幅、短縮、Ca2+decay、endothelium-dependent arterial relaxationはすべてVdotO2maxに相関(r=0.85, 0.84, 0.75, 0.63, –0.54, –0.37; P<0.01)
多変量解析で心筋細胞長、vasorelaxationはトレーニング中止後のVdotO2max減少の決定要因であった。
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【おまけ】
最近パワーリハビリテーションというのがはやっているというか、たちが悪いことに国会答弁まであって、まるで このリハビリテーションがデフォルトのようなイメージでマスコミがとられているようです。
施策として導入するには、エビデンスが必要で、特にコスト・ベネフィット研究までなさえるべきです。大量の高価な機器を前提としたパワーリハビリテーションは大きなコストを抱えることとなります。
諸外国でも、循環器系や呼吸系のリハビリテーション療法は、下肢運動が主体で、準備運動としてのストレッチ、ウォームアップ、定常運動の強度・持続時間、クールダウン程度の指導でなされています。
高価な機械を前提としたリハビリテーションの介護保険導入は早計も甚だしい。

去年の会議録厚労省の会議録をみても、リハビリテーションの一般のエビデンスは言及していてもこの“パワーリハビリテーション”とやらのエビデンス・レベルはかなり低い・・個別的報告にすぎません。

このかたよったリハビリテーションの一手法に肩入れし、行政の提灯記事である朝日新聞の社説(本日付)は、解説者の軽挙妄動と思われ、それ以上に厚労省のアホ役人・・・

これほど熱心なのは、機器メーカーと癒着してんちがうんか?

by internalmedicine | 2004-06-16 10:04 | 動脈硬化/循環器  

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