“養老 孟司”さん

2004『「タバコやめてネ」コンテスト』結果発表
で、
8位にめでたく、“養老 孟司”さんがランクインされ、医師でもあるので同業者の誇り?と思い、“NHKでもっともらしく脳の講義をするが、ニコチン依存では科学者として信用ムリ。禁煙してニコチンの真実を語ってよ/自分の脳は解剖できないのか。”ということだそうです。

この人ホントはあほ?

養老さんは“ばかの壁”を打破くらいはしているわけで、専門であるニコチン依存における脳の変化もわかってるはず・・・と思いきや
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Cholinergic modulation of dopaminergic reward areas: upstream and downstream targets of nicotine addiction.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=14623355
Eur J Pharmacol. 2003 Nov 7;480(1-3):117-23.
ニコチンは、ドーパミン作用が集中する中脳のニコチンのアセチルコリン受容器の活性化により、喫煙習慣を促進する。ドーパミン作動性ニューロンの上流は長期的に興奮性入力を腹側被蓋領域のドーパミン細胞へ生じさせ、抑制入力を低下させる。ニコチンの両影響はニコチン単独に暴露されるより長く持続し、側坐核へと投射されるドーパミン作動性腹側被蓋領域を活性化する。しかし、ドーパミンの下流、ニコチンの影響も生じる。坐核内のコリン作動性ニューロン同士は側坐核GABAのトーンにとって重要であり、腹側被蓋へた逆に投射する。ニコチンアセチルコリン受容体はこの制御を仲介し、脱感作として働くことが喫煙者の血液中から判明。このようにドーパミン遊離の上流・下流シナプスメカニズムはニコチン依存の病因論的に関与している重要な要因である。”
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で、


アインシュタインも喫煙家であったので・・喫煙が脳に害があるということの反証となるという意見(1)があります。そして、アルツハイマー病の予防としてニコチンの作用があるという反証(2)ですね。


1)への反証
アインシュタインの発見は若いときであった。で、喫煙と認知機能障害の問題は高齢となったときである。

Effect of smoking on global cognitive function in nondemented elderly
NEUROLOGY 2004;62:920-924

MMSEスコアでみると
非喫煙者は0.03 point/年
喫煙経験者では0.03以上、現行の喫煙者は0.13/年(p < 0.001)
男女とも喫煙により認知機能の低下があり、とくに、痴呆の家族歴を持つものはとくに認知機能低下率がめだつ。

プレス発表:アホ新聞向け
http://www.aan.com/press/press/index.cfm?fuseaction=release.view&release=170


中年層でも、認知機能の質を低下させる。
Am J Epidemiol. 2002 Nov 15;156(10):936-44.
現在の喫煙はpsychomotor speedを減少させ、認知機能の柔軟性を減少させる。









2)への反証
ニコチンはアルツハイマー病の予防に役立つか

この場合はニコチン=たばこではありません。直接、喫煙習慣とアルツハイマー病発症リスクを検討すべきです。
最近の治験では、喫煙習慣と予防効果はほぼ否定、2倍ほどリスク増加のほうが常識的と考えられます。

Hofmanという人の論文を参考文献にして、喫煙がアルツハイマー病に防御的であるという紹介をしているWebがありますが、検索するとむしろ逆で
Female gender, current smoking (more strongly in men), and low levels of education (more strongly in women) increased the risk of AD significantly. というように、現行の喫煙はアルツハイマー病促進的であると言明されております。

A 2-year follow-up study of cigarette smoking and risk of dementia.
Eur J Neurol. 2004 Apr;11(4):277-82.
60歳22820名の参加者を2年フォロー
喫煙と痴呆の相関を比例ハザードモデルで検討、121例の痴呆、84 (69%)がアルツハイマー病、17(14%)が血管性痴呆
非喫煙者比較で、現行喫煙者はアルツハイマー病のリスク増加(RR = 2.72; 95% CI = 1.63-5.42) 、血管性痴呆でも増加(RR = 1.98; 95% CI = 1.53-3.12)
軽度喫煙者比較の中等量喫煙では、アルツハイマー病は有意に増加(RR = 2.56; 95% CI = 1.65-5.52)、高度喫煙ではさらに有意に増加(RR = 3.03; 95% CI = 1.25-4.02).

Smoking and risk of dementia and Alzheimer's disease in a population-based cohort study: the Rotterdam Study.
Lancet. 1998 Jun 20;351(9119):1840-3.
喫煙は痴呆のリスク、アルツハイマー病のリスクを2倍とする。

Smoking and the occurrence of Alzheimer's disease: cross-sectional and longitudinal data in a population-based study.
Am J Epidemiol. 1999 Apr 1;149(7):640-4.
3年にわたるフォローアップ、アルツハイマー病の発生頻度のハザード比は喫煙で1.1 (95% CI 0.5-2.4) と痴呆で1.4 (95% CI 0.8-2.7)
5年死亡率は非痴呆患者(ハザード比 0.8)より痴呆における喫煙者で高い(ハザード比:3.4)


喫煙で痴呆が増えるというのは常識です。Googleでしらべると逆のことを掲載しているところも多いのです。はやくたばこをやめて、脳細胞を守っていただき、はやくWebの訂正をお願いしたいものです
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以上、好煙者のへりくつの反証をこころみました。


養老先生が、貴重な脳細胞をたばこで破壊されることは国家的な損失です。
是非、おやめいただきたく存じます。

by internalmedicine | 2004-06-16 12:24 | 医学  

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