CHICAGOスタディー:アクトス vs アマリール 頸動脈内膜中膜肥厚度進展

PROactive studyで、piglitazone(アクトス)がmacrovascular diseaseを有する2型糖尿病患者の全原因死亡率、非致死的な心筋梗塞、糖尿病を減少させたが、プライマリエンドポイントである全原因、非致命的なMI、卒中、急性冠症候群、下肢切断、冠動脈形成、下肢血管形成で有意差のある有益性が認めらなかったが、全原因死亡率や心筋梗塞、卒中といったセカンダリエンドポイントで、16%の減少が示された。

タケダのMRは後のセカンダリエンドポイントのみを宣伝しており、企業倫理に悖る問題と思う・・・ムーア監督の“SICKO”もタケダもターゲットにしてほしい
タケダはセカンダリエンドポイントやサブグループ研究でものをいうのが得意なようで、CASE-Jでもサブグループ研究で我田引水の説を披露しまくっているようである。


今回、Pioglitazone(アクトス)が、glimepiride(アマリール)に比較して頸動脈内膜中膜肥厚度(Carotid intima-media tHICkness)の進展抑制的に働いたとのこと!


頸動脈内膜中膜肥厚度


CHICAGO研究(A Study of Pioglitazone HCl Versus Glimepiride in Subjects With Type 2 Diabetes Measuring the Progression of Atherosclerosis)の結果であるが・・・


SU剤と比較して、HbA1c、HDLコレステロールは改善



ただ、臨床的なアウトカムでないので、厳格にはこの研究も臨床的に真に意義のあるものか不明であると思う・・・タケダの宣伝の際には眉にいっぱいつばをつけて聞くことがのぞましいだろう。

ただ、今回のCHICAGOスタディーの結果は、糖尿病コントロール目的はHbA1c改善のみでよいのか・・・という議論を呼び起こしそうで興味ある結果である。
アクトスの水貯留がmortalityやmorbidityに悪影響を及ぼすのではないかという危惧もあり、単純に糖尿病=アクトスというわけにはいかないだろうと思う。

thiazolidinedionesの想定される心血管リスク減少メカニズム
・in vivoにおける動脈硬化抑制作用を推定させる遺伝子発現のmodulation( *, *
・全身性の炎症、凝固マーカー、リポ蛋白特性、血管内皮機能への影響( *, *, *, *)
・血糖の状態、脂質に無関係に動脈硬化性のプラーク減少( *,*, *)

Effect of Pioglitazone Compared With Glimepiride on Carotid Intima-Media Thickness in Type 2 Diabetes A Randomized Trial
JAMA. 2006;296:
CIMTの平均変化は24週、48週、72週でいづれも対glimepirideに対してpioglitazoneで少ない

プライマリエンドポイントである平均CIMTの進展は72週目でpioglitazoneで対glimepirideに比して少ない(それぞれ、–0.001 mm vs +0.012 mm; 相違 –0.013 mm; 95% CI –0.024 ~ –0.002; P = .02).

最大CIMTの進展抑制がpioglitazoneでglimepirideに比して認められた(それぞれ 0.002 mm vs 0.026 mm 72週目; 相違 –0.024 mm; 95% CI –0.042 to –0.006; P = .008).

平均CIMTのpioglitazoneの利益効果は年齢、性別、収縮期血圧、糖尿病期間、BMI、HbA1c値、スタチン使用というサブグループを通して横断的に同様であった。



by internalmedicine | 2006-11-16 09:16 | 動脈硬化/循環器  

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