アメリカでは年に4500人の子供がメディカルエラーで亡くなっている



エラーというのは
“計算あるいは測定された値と、理論的に正しい値とのずれ。誤差。”
という意味合いがあり、ミスというのは、
“失敗すること。やりそこない。 ”
とあります。




なぜ“医療エラー”がおきるか、そしてその問題の帰着点は・・・・
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“Why Do Medical Errors Happen, and How Should the Problem Be Addressed? ”

1.怠慢な・未熟な医療従事者
多くの人々は“医療エラー”は“悪い医者”がとても多いので、そして怠慢で生じると信じている。医療技術提供者の医療行為の継続における不十分な/注意不足によるものが主で、下請けスタッフやコスト削減によるものである。
少数の医学スタッフで、聖職化や崇高な理念の美名の元、他方では怠慢ともなりえる仕事を強いられている。“医療上の怠慢や非効率的な監視システムは“medical error”を生じている。実際に怠慢が“medical error”の主な原因であるというエビデンスは少ない。怠慢をなくすことが問題を解決するというエビデンスも少ない。

2.不可避なヒューマン・エラー
システムアプローチについて記載してあるものは心理的・ヒューマン要因について、複雑化したシステムがむしろ大きな要因となる。あるICUなどはヒューマンエラーを削除するため178もの行動を規定しており、かえってそれが無数のエラーを発生させる原因ともなっているという自己矛盾を含むこととなっている。一人あたり1日平均1.7回の間違い、あるいは1%弱程度という表現もある。99.9%の正確性でさえ不適切であるというシステムであるのだ。

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以下の失敗と同数のエラーがなされている
ある空港の毎日の着陸に2回失敗すること
1時間毎に16000通の郵便をなくすこと
1時間毎に32000銀行のチェックの失敗
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以上のの頻度でメディカルエラーが生じている。

究極は、システムの問題であり、個人の問題にしていては、なにも解決しない

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問題の複雑さと、単なる好き嫌いでない科学的な分析が必要ということを感じます。



小児科入院患者の安全:2000年の米国国家像
Pediatric patient safety in hospitals: a national picture in 2000.
Pediatrics. 2004 Jun;113(6):1741-6.
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患者安全指標でいいのか、Patient Safety Indicators (PSIs)が“the Agency for Healthcare Research and Quality”の調査で発展、内在性の入院患者安全
性問題の同定をはかり、施策的データに利用するたもの方法

PSIsはこれか?
参照

PSIは重大で、メディケード施設頻繁に生じている。
回帰データ分析で、ほぼすべてのPSIsが重要かつ実質的に入院滞在期間増加、経費増加、入院中の死亡と関係。
2000年だけで10億ドル以上と計上される安全性イベントが生じている。
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BMJの解説記事が掲載されています。わかりにくい内容ですが、“medical error”と“medical mistake”が明確に区別されていること、それでも批判は多いこと、しかも発表者が商売くさいことがわかります。


より具体的ショッキングな内容としては、1年に4500人の子供が“medical
error”のため亡くなっているという、BMJの解説記事

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2000年の27週19年の570万の退院記録
これは“指標”であり、“確定的な測定ではない”と強調。“Medication errors”はふくまれていない。

あるスペシャリストは、“"medical error"のインパクトを過剰に表現しすぎ、 "mistake"と明らかに区別できない死亡例が含まれている”と述べている。
Dr Erin Stuckyというアドバイザーは200の安全性指標を分析した結果、わずか数例、“異物遺留”のようなケースだけが"error"の関与の自覚なかったのみとのべている

“もし、ショックや敗血症から小児ICUで死亡した場合、“患者安全問題”といえるはずがない。術後の生理学的・代謝的な異常や“救命不能”をいくつかのカテゴリーを含んでいること自体疑問視せざる得ない”

Dr Kaushalは、“患者のケアを改善するため役立つ道具であると考えている。両親に医療や医学上の問題のパスポートをあたえることはまず第一歩であり、コンピューター化した意志決定システムが発展することとなり、現在このシステムを導入しているのは10-15%にすぎないと述べている。
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ミスというネーミングあるいはラベリングは、真の問題性、システムの問題性を隠匿する行政に都合の良すぎるやりかたであり、マスメディアの正しい報道が必要

これは、個別的批判、情緒的批判では対処不能な、“medical error”の問題ということです。

by internalmedicine | 2004-06-18 12:29 | 医療一般  

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