術前にアスピリンは中止しなければならないのか?
2006年 12月 03日
その一例:術前にアスピリンは中止しなければならない・・・と断言!
しかも7日と・・・
果たして?
ある論文に対して、“中止すべきエビデンスがない以上、全例にそれを強制することはやめるべきである”という提言がある。
BJU International
Volume 92 Issue 6 Page 654 - October 2003
そこで参照されているガイドラインは・・・
(ANTIPLATELET AGENTS IN THE PERIOPERATIVE PERIOD : EXPERT
1)抗血小板剤は止血にさまざまな影響を及ぼす。アスピリンとNSAIDsは術中・jつ後の合併症に中等度増加するが、輸血の必要性は増加させない。ClopidogelやTiclopidinにおいてデータは少ない。投与後すぐに手術必要となったときの抗Glycoprotein(GP)IIb/IIIa剤は出血増加の可能性がある。
2)抗血小板剤の中止が通常行われているが現在その方針が変更されている。中止後心筋梗塞の頻度増加がその理由である。
3)多くの血管への主義やいくつかの状況においてはアスピリンは中止すべきでない。術中の出血増加を恐れるなら、手術による止血困難なら、Clopidogrelやticlopidineは短期作動型のNSAIDSに10日間や手術前の中止期間、置換することが可能である。
血小板輸血は出血大量時のみ行われるべき。術後、抗血小板治療は手術後すぐに開始すべきである(6時間以内)
RECOMMENDATIONS OF THE FRENCH SOCIETY OF ANESTHESIOLOGY
AND INTENSIVE CARE (SFAR) 2001 – SUMMARY)
The Society of Thoracic Surgeons Practice Guideline Series
わかりやすさも大事だが、医学教育は知識獲得のノウハウ教授という面がもっとも重視されるべきであり、なんたらマニュアルの解説ではいけないと私は思うのだが・・・
<他>
尿管結石にNSAIDsが第一選択?
・・・ゲーコクでは最初から麻薬系を用いると思うのだが・・・これってグローバルには通じないと思う。
【注】ご指摘があり、メタアナリシスで、NSAIDsよりオピオイドの方が疼痛を抑える効果が大きく、嘔吐などの副作用が少なかったという報告(BMJ 2004;328:1401 (12 June))が有ったとのことでした。
Acute Renal Colic from Ureteral Calculus
(NEJM Volume 350:684-693 の解説、腎障害・出血リスクを考えてnarcoticsが・・・ということで言い訳をしようともくろみましたが、よく分からなくなりました。少なくとも、断定的に麻薬第一選択と言ったのは間違いでした。
お詫びし、訂正申し上げます。
by internalmedicine | 2006-12-03 09:05 | 医療一般