骨粗鬆症と交感神経:うつの骨粗鬆症リスク

Journal Watch(Journal
Watch Psychiatry December 4, 2006
)に取り上げられている話題である。
鬱病だから抗うつ薬を使って身体的活動性を増して改善させると考える傾向にな
りそうだが、“neuropsychostelogy”を基礎として、脳、活動性などの行動、骨格
の相互関係を明らかにする学問の方向性を示唆するそうである。
後述のNatureの論文も読み合わせてみてほしい。

Depression induces bone loss through stimulation of the sympathetic
nervous system
PNAS
November 7, 2006 vol. 103 no. 45 16876-16881

骨粗鬆症と骨折頻度増加が大うつとの相関が見られる。この相関の
メカニズムを利用して、うつの治療が骨粗鬆・骨折軽減するかどうかは不明
この研究者たちはうつの動物モデル(4週間の慢性ストレス状態にしたマウス)
でこの問題を研究
対照マウスに比べ、ストレス下のマウスは骨減少し、骨形成と関連する
osteoblastが減少
しかし、骨のnorepinephrineと血中のglucocorticoid値の増加がストレス下のマ
ウスで増加した。
骨の交感神経支配故に、研究者たちはストレス下のマウスにpropranolol(β遮断
剤)を投与したところ、うつ様の行動は変化無かったが、骨量の低下が減少した。

こんどは、副腎を摘出されたマウスで、corticosteroneの役割を評価できなかっ
た。ストレス下の場合、マウスは行動にも、骨減少にも変化をもたらさなかった。

ストレス下のマウスをimipramineで治療し、うつ様行動減少がみられた場合に、
骨形成が対照レベルまで改善した。
imipramineにより行動変化が反応しないマウス(サンプルの半分の例)では、骨
形成の改善が見られなかった。


NatureのLetterという形(Nature
434, 514-520 (24 March 2005)
)で、レプチン調整性の神経経路が骨のリモ
デリングをコントロールし、交感神経シグナルのintegrityが骨吸収増加に関連
していることが示されている。こういったことが、機序と考えられるのかもしれ
ない。

beta2-adrenergic receptors (Adrb2)を介してleptinの下流での骨形成はosteoblastをコントロールすることが示されている。
Adrb2欠損マウスの分析で交感神経系が骨吸収促進的に働くことが示され、osteoclast differentiation factorであるRanklのosteoblastのprogenitor cellでの発現増加によるものであろうと推定
交感神経機能は、osteoblastの分化・機能のため、ATF4のリン酸化(protein kinase Aによる)、細胞特異的なCREB関連transcription factorを必要とする。
骨吸収は副腎摘出Adrb2欠損マウスで増加しないということにより、このメカニズムの生物学的重要性をhighlight化した。
一方、低交感神経tone、ob/obマウス、hypogonadicな状態では、骨吸収促進するという現象が生じる。
このdiscrepancyは、一つには以下の事実で説明される。
すなわちCART(cocaine amphetamine regulated transcript)、これはleptinによりコントロール発現するneuropeptideであり、ob/obマウスでほぼ抑制されるneuropeptideで、Rankl発現を調整することで骨吸収抑制をもたらす。
この研究でレプチン調整神経経路は骨のリモデリングを両面から調整し、交感神経シグナルのintegrityは性腺機能低下状態の場合の骨吸収抑制に重大な影響を及ぼすことが判明した。

by internalmedicine | 2006-12-05 11:20 | 運動系  

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