自閉症と扁桃体

自閉症において、社会性の障害の客観的指標と扁桃体(Amygdala)のサイズに関連があるという初めての報告らしい
扁桃体との関係は注目されていたらしいが、そのサイズの報告がバラバラで、小児期に大きく、思春期は相ではないという報告などであり、今回経年的変化で説明できるかもしれないと読み取ったが・・・いかがだろうか?

Nacewicz BM et al.
"Amygdala Volume and Nonverbal Social Impairment in Adolescent and Adult Males With Autism."
Arch Gen Psychiatry. 2006;63:1417-1428.
デザイン:扁桃体容積(high-resolution、解剖学的なMRI検査)の2つの横断的研究で、54名の男性、8-25歳の対象者、23名の自閉症、5名のAsperger症候群・広汎性発達障害で、26例の年齢・性別マッチさせた地域住民ボランティア対照

Autism Diagnostic Interview–Revisedを診断、評価に用いた。

メインアウトカム:Amygdala volume, judgment of facial expressions, and eye tracking.

結果:
小サイズの扁桃体の自閉症はneutral expressionとemotionalを区別するのに時間がかかり(P=.02)、眼球運動障害パターンが見られる(P=.04)
そういった事例は早期よりAutism Diagnostic Interview-Reviseによる社会的な障害が多く見られる。

Study 2 では、対照より扁桃体が小さい、そのサイズは年齢と相関がある。
扁桃体最小の自閉症被験者ではgaze avoidanceや障害が生じやすい
混合サンプルでは、年齢と関係する社会性欠如の重症度は自閉症における扁桃体のサイズ変化のパターンで推測しうる(P=.047).



扁桃体(Amygdala)の容積は、顔面の表情だけでなく、非言語的社会行動における幼少時期の障害を予測することができ、これは調査年齢層が狭く、扁桃体が異常に小さい場合は、より障害の程度が大きい”ということが示されたとのこと。これはそれまで提唱されていた理論である、“扁桃体の幼少時期過活動性の結果構造体に荷重がかかり、その構造が萎縮するという仮説”と一致し、初期は肥厚し、その後萎縮に陥るという自閉症の幼少期に生じる現象であり、それまでの横断的研究にて扁桃体の正常、減少、増加という報告が有ったのも頷ける。扁桃体は、情緒プロセスを含むものと考えられ、自閉症との関連を検討する多くの研究もなされていたわけで、後はPETなどを利用した検討がなされるかもしれない。

by internalmedicine | 2006-12-06 10:07 | 医療一般  

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