健康高齢女性の認知機能低下予防にビタミンEは有効か?

あいも変わらず否定的なお話・・・

A Randomized Trial of Vitamin E Supplementation and Cognitive Function in Women
Arch Intern Med. 2006;166:2462-2468.
酸化ストレスは認知機能障害の進展の鍵を果たす。ビタミンEの長期サプリメント使用が、強力な抗酸化物質として認知機能改善に働く可能性を検討
【方法】Women's Health StudyでのビタミンE(αトコフェロール酢酸 600IU)サプリメント使用。39876名の健康US女性に1992-1995年に開始。1998年から6477名の65歳以上の女性のcognitive substudy群

2年間隔で一般認知、言語的記憶、category fluencyの3つの認知機能試験を電話で行った。
・プライマリアウトカムは、全構成スコアの平均パフォーマンス

【結果】
・初回評価時、ビタミンEとglobal score相違なし (ランダム化5.6年 mean difference, –0.01; 95% confidence interval [CI], –0.04 ~ 0.03)
・最終評価時も相違なし (治療9.6年: mean difference, 0.00; 95% CI, –0.04 ~ 0.04).
・global scoreにおいては経時的平均認知変化はビタミンE群とプラセボ対照群と同様
(mean difference in change, 0.02; 95% CI, –0.01 to 0.05; P = .16)

・global scoreの実質減衰相対リスクは 0.92 (95% CI, 0.77 ~ 1.10).




【結論】
ビタミンEサプリメント長期使用は正常な高齢女性において認知機能的にbenefitを認めなかった。



酸化ストレスは認知症の病因の鍵であり、ビタミンEは強力な脂溶性抗酸化物質である。in vitroやin vivoではビタミンEは脳脂質過酸化レベル(主な脳内の酸化ダメージ形態)を低下し、神経ダメージを防御することが推定。認知機能低下は、Alzheimer病(AD)の高度リスク。酸化神経障害はADのかなり早期から見られる。
生物学的データ:
疫学データ:


故に抗酸化物質が有効そうなものだが・・・現実的には否定的な結果が多い。



NIHコンセンサスステートメント: マルチビタミン・ミネラルサプリメント(MVM)

by internalmedicine | 2006-12-12 09:09 | 内科全般  

<< なまけもの地図 : map o... 進行期認知症の経管栄養問題 >>