アルコールが重症頭部外傷の患者の予後改善させる?

飲酒運転に対する社会的な関心が高まり、取り締まりが厳しくなったわけで、結構なことだと思うのだが、アルコールそのものには頭部外傷に関する利点の可能性が明らかになった。


Journal Archives of Surgeryに、アルコール血中濃度が低~中等度高いほうが死亡予後がよかったという報告が掲載されたとのこと

Association Between Alcohol and Mortality in Patients With Severe Traumatic Head Injury
Arch Surg. 2006;141:1185-1191.
【仮説】鈍器損傷による頭部外傷に関して、入院時アルコール血中濃度(BAC)が入院時死亡率と関連があるのではないか?
【デザイン】 後顧的コホート
【状況】トロントの外傷センター
【患者】1988年1月1日から2003年12月31日の1158名の連続重度頭部外傷患者(鈍的頭部外傷による)
【介入】積極的介入なし
主な興味対象は受診時アルコール血中濃度
3つのレベルで層別化:
0, no BAC
0 to less than 230 mg/dL
low to moderate BAC
230 mg/dL or greater, high BAC

【メイン・アウトカム測定】入院死亡

【結果】重症頭部外傷患者のうち、
low to moderate BACはno BACより死亡率少ない (27.9% vs 36.3%; P = .008).

High BACはno BACより死亡率が高い(44.7% vs 36.3%)、ただし、統計学的有意差がない (P = .10).

人口動態データ・ロジスティック解析補正を用いた外傷要因補正後すべて統計学的に有意差があり

死亡に対するオッズ比は 0.76 (95% CI 0.52-0.98):low to moderate BAC v.s. no BAC.

死亡オッズ比 1.73 (95% CI 1.05-2.84) :high BAC v.s. no BAC.

【結論】低~中等度アルコール血中濃度(BAC)は、鈍器による重症頭部外傷患者にとってベネフィットがある。
一方、高度BACでは、入院時死亡に関して予後不良、血行動態・身体的影響によるものと思われる。
アルコールベースの蘇生された重症頭部外傷患者のマネージメントに役割を果たすこととなる。




決して、飲酒を勧めているわけではないとのこと、飲酒運転中の事故による死亡の方がはるかに問題であると、この論文をまとめたトロント大学の連中も述べている。

ただ、脳内の腫脹・炎症、脳細胞破壊の進展プロセスの保護的なメカニズムがあることが示唆され、“二次脳損傷”のため、死亡や障害をもたらす可能性がある。
専門家たちはアルコールの保護作用に驚きを感じているのである。

(参考:http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/6190391.stm




今日は、クリスマス・イブ、決して、飲酒運転されないように!

by internalmedicine | 2006-12-24 12:38 | 医療一般  

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