思春期自殺の家族的因子
2006年 12月 28日
あまりに稚拙な報道及び場当たり的解説が跋扈し、読者・視聴者の情緒的関心のみを引き立て、二次被害を増加させている、加害者であるということも忘れているのだろう。
メディアの自殺報道は多くの批判があったから自粛しているのか、もしくは、メディア特有の移り気によるものなのか?その報道数は減っているようである。
メディアの特徴に、一つのターゲットを見つけたら徹底的にたたくというのが特徴である。自殺というのは多因子的であり、その要因への決めつけというのは非常に危険である。
今回のテーマである家族的要因というのも決めつけはさらに危険であることは承知しておく必要がある。ただ、自殺という要因に対するinterventionに関してそれを科学的に分析することは重要であるだろう。ただ、残念ながら、家族集積性に関してそれを介入して自殺を減少させるかどうかは分からないとのことであった。
一方的な決めつけ報道が多かったが、自殺報道に関しては多因子であることを必ず念頭に置いて行っていただきたいものである。
Familial Pathways to Suicidal Behavior — Understanding and Preventing Suicide among Adolescents
N Engl J M Volume 355:2719-2721
自殺行為の脆弱性が家族伝播するという側面で、若年者の自殺予測するstress-diathesis model(ストレス体質モデル)が報告されている。
人間関係の危機に関連したacute despairや他の個人の喪失感・失敗、特に大うつがある場合、家族外の重大なストレッサーとなる。
自殺のリスク要因、すなわち、気分障害、アルコール依存、失恋、自殺行動の家族歴などが有る事例をあげて、解説が行われている。
自殺は3番目の若年者の自殺原因だが、個人的損失に直面する膨大な数の人たちが気分障害を有し、アルコール依存は自殺企図もなく、自殺も遂行しない。そのようなストレッサーの組み合わせとともに、遺伝体質が影響を与えている
多リスク要因の結果自殺後遺の高リスクを生み出す。その要因として、衝動的攻撃性(挑発へ反応しやすいこと)や憎悪・攻撃へのフラストレーション、若年者は、絶望感やうつがさらにクリティカルな役割を果たすことともなる。
ただし、その傾向は、家族性であることがしばしばで、遺伝的要因がある(;注. 可能性としたいが、原文では断言している)
養子・双生児研究にて遺伝・環境要因が関連有ると報告がある(Am J Med Genet C Semin Med Genet 2005;133:13-24. )
精神病には家族性があるが、自殺は、それと独立した因子かのようである。
衝動的攻撃性は、明らかにされた要因のネットワークの鍵のようである。診断的に同様の患者群別したときに、衝動的攻撃性は自殺と強い相関があり、自殺思考のうえにそれを実行する傾向が増すのであろう。
by internalmedicine | 2006-12-28 09:24 | 医療一般