小児の慢性咳嗽の主因は、PBB(持続性細菌性気管支炎)

日本小児呼吸器疾患学会の定義の不明確な用語と称されている一群
・喘息性気管支炎 asthmatic bronchitis、
・喘息様気管支炎 asthmatoid bronchitis
・アレルギー性気管支炎 allergic bronchitis 
・慢性気管支炎 chronic bronchitis

と上げている。

小児の慢性気管支炎とは・・・?

Deirdre DonnellyらのCHEST誌論文(Chest. 2006;129:1132-1141.)がある。これは、気管支鏡・肺胞洗浄液による評価を行ったもので、成人と同じ慢性咳嗽のアルゴリズムを行ったところ、異なる結果を得たというのが、この目新しく聞こえる診断名の理論的なベースとなっている。
3週間超の咳嗽歴のあるケースで診断確定、咳嗽消失までフォローされたもの

108名、中央値2.6歳の子どもで、湿性咳嗽89%(96名)で、BALを45.4%(49名)で行ったもの
BAL試料中の好中球レベルは他の診断群より高い(p<0.0001)
喘息、GERD、upper airway cough syndrome (UACS)は成人では多いが、このコホートでは10%未満であった (n = 10).


成人ベースの解剖的なpathwayと異なるという報告であった。


今回のThorax誌の論文は “持続性細菌感染(Persistent bacterial bronchitis:PBB)は認識されておらず、しばしば喘息と誤診されてしまう。この患者群のマネージメントやアウトカムに関する文献報告がなく、小児呼吸器クリニック受診PBB患者アウトカムのレビューをこころみたもの”である。


小児における、持続性細菌性気管支炎の治療アウトカム
Outcomes in children treated for persistent bacterial bronchitis
Thorax 2007;62:80-84

PBBの診断:持続性、1ヶ月超の湿性咳嗽で、適切な抗生剤治療により改善したケース
81名のPBB臨床診断後顧的カルテレビュー

【結果】
持続性咳嗽・難治性喘息が最も多い受診理由
多くの患者では、2歳未満に発症、59%が1年超の持続期間
受診時、患者の59%で喘息治療を受け、11%で抗生剤投与を受けていた。
Haemophilus influenzaeやStreptococcus pneumoniaeが最も多く検出
半数以上で抗生剤の2コース後症状消失
13%のみ抗生剤6コース必要

【結論】
PBBは喘息としばしば誤診される、ただ、2つの病態は混在することもある。
治療は、持続性咳嗽を消失させることだけでなく気管支拡張への進展を予防することになるかもしれない。診断・治療に関するさらなる研究が緊急に必要。




慢性気管支炎という病名は、保険病名として便利なため、科学的な臨床診断名と乖離して使われているというのは専門的な学会のお偉いさんたちも、講演の場などでよく言及している。2歳前後の子どもでは細菌性気管支炎が持続的咳嗽をもたらすということを、臨床医はもう一度認識する必要があろう(医療保険に柔軟性がないため医学と乖離していることが多く、柔軟な解釈が望ましいのだが、実際はニ○イのおばさんたちがチェックし、いつのまにか、彼女らの素人解釈がまかり通る日本の医療・・・)

by internalmedicine | 2007-01-05 10:12 | 内科全般  

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