ベンゾジアゼピン処方制限という政策では股関節骨折減少しなかった
2007年 01月 17日
たとえば、リハビリテーション制限をして、その結果、その対象者たちはどうなったのか?そしてADL、QOLなどの係わる指標はどう変わったのか?・・・そういう発表は全くないのである。リハビリテーション回数が減ったので良かった良かったで終わる程度の低脳な政治家と行政の集合体で、この国の施策は決まっているのである。
・・・経団連の価値観主体である、金になることは民間大企業に回せ!国民の幸せアウトカムなんぞはくそ食らえ!・・・という政治・行政
ニューヨーク州で、患者の案税制確保のため、ベンゾジアゼピン処方制限を行った。それでどうなったか。結局、骨折減少しなかった。故に、この政策は誤りであったということに。なんと明瞭な結論だろう・・・
Effect of New York State Regulatory Action on Benzodiazepine Prescribing and Hip Fracture Rates
Ann Int Med 16 January 2007 Volume 146 Issue 2 Pages 96-103
http://www.annals.org/cgi/content/abstract/146/2/96
【背景】
Medicare Part Dはcoverageからベンゾジアゼピンを除外し、多くの州政府がその使用制限を行っている。
ただそのような施策が股関節骨折の頻度を減少させたかはデータがない。
【目的】ベンゾジアゼピン使用抑制が老人の股関節骨折を50%以上減少させたか?
【状況】2つのUSの州メディケアプログラム(1988-1990)
【患者】メディケア(ニューヨーク 51529、ニュージャージー 42029)
ベンゾジアゼピン処方有無両方
【測定項目】ベンゾジアゼピン処方とハザード比
年齢と対象適切さのカテゴリー分け
【介入】州での制作、1989年ニューヨークで導入し、処方にtriplicate formが必要で、後にauthorityがサーベイランスするというもの
【結果】triplicate処方は直ちに効果を発揮し
女性では 60.3% (95% CI, --66.3% to --54.2%)
男性では58.5% (--64.3% to --52.8%)
Results: The triplicate prescription policy immediately resulted in a 60.3% (95% CI, --66.3% to --54.2%) reduction in benzodiazepine use among women and 58.5% (--64.3% to --52.8%) among men.
ニュージャージーでの使用は不変
年齢補正・カテゴリー区分股関節骨折ハザード比はニューヨーク、ニュージャージーとも変化なかった。
triplicte prescription policyの使用前後比較で
ベンゾジアゼピン処方女性: 1.2 → 1.1[P = 0.70]
被処方女性:1.3 → 1.1 [P = 0.08]
処方男性: 0.8 → 1.1 [P = 0.56]
非処方男性: 1.1 → 1.3 [P = 0.46]
【結論】政策により老人へのベンゾジアゼピン使用は減ったが、必ずしも股関節骨折頻度減少にはつながってない。
Medicare Part D下のベンゾジアゼピン処方制限は臨床的メリットをもたらしているとは言えない。
by internalmedicine | 2007-01-17 10:29 | 医療一般