インフルエンザ入院成人への迅速診断の価値
2007年 01月 23日
・・・“どのようなprevalenceで迅速検査をするのが望ましいか”というテーマはEBMのお勉強でよく題材にされる(私も何かに書いた覚えが・・・)はなしで、ハリソンとEBMの検査の本をみれば簡単な教育題材のできあがり・・
Pediatrics誌の論文と以下の論文の成人入院患者とは状況が違うだろうが、迅速検査に関して、整合性のあるレビューなり、ガイドラインが必要と思うと感じた次第で・・・
Impact of Rapid Diagnosis on Management of Adults Hospitalized With Influenza
Arch Intern Med. 2007;167
【背景】迅速インフルエンザ試験は有熱小児の抗生剤使用及び付属的検査を減少させたが、成人入院患者への効果は不明。
迅速試験陽性(Ag+)のインフルエンザ患者の臨床マネージメントを陰性の場合や試験を行わなかった(Ag0)場合との比較。
【方法】インフルエンザ入院患者4冬のカルテ記録レビュー(1999-2003)
入院方針は11月15日から4月15日までの新は胃疾患患者全員にインフルエンザ検査施行
【結果】166名の患者記録のうち、86名Ag+、80名Ag-
Ag+において、Ag0に比べ、抗生剤使用は少なく (74/86 [86%] vs 79/80 ; P = .002) 、抗生剤中止は多い (12 / 8 6[14%] vs 2 /80 [2%] ; P=.01)
抗生剤使用日数、入院期間、抗生剤合併症は有意差無し
抗ウィルス剤使用はAg+で、Ag0より多い(63/86 [73%] vs 6/80 [8%] ;P<.001)
多変量解析によれば、抗生剤使用は独立して抗生剤不使用・中断と関連する。
Ag+の44名で細菌感染のリスクは低いように思えるうちの、27名はインフルエンザ陽性であっても抗生剤使用していた。
これらの患者は主に肺疾患を有志、有意に肺機能異常が見られたもの(P=.005)である。
【結論】インフルエンザ迅速試験は入院患者における抗生剤使用を減少させる。
細菌感染合併を除外するより良質なツールがさらにこのウィルス検査の利用方法を改善すると思われる。
新型インフルエンザ対策とのことで・・・パブリックコメントを募集しているとのことだが、どうせ、そのまんま決まるか、政府・厚労省が顔を立てなければならない業種がなにかごり押ししてちょこっと変更される程度だろう・・・
■ 初期段階に抗インフル薬を予防投与 ― 新型インフルでガイドライン案 ―
新型インフルエンザの発生に備えて厚生労働省は1月19日、「新型インフルエンザに関するガイドライン案(フェーズ4以降)」をまとめ、新型インフルエンザ専門家会議に示した。国内で患者が発生した初期段階で抗インフルエンザウイルス薬を予防投与するなど、感染を封じ込めることを盛り込んだ。患者数の増加に応じて医療体制を変更することや、抗ウイルス薬の投与に優先順位を付ける案も示した。パブリックコメントを経て3月までにまとめる。
案によると患者が見つかった第1期では、都道府県が患者の家族や接触者などへの抗ウイルス薬の予防投与、接触者の行動制限を行う。発生3日以内に感染の封じ込めができたかを国が評価。対策の継続が必要と判断した場合、市町村群単位での移動制限、一斉予防投与など、地域封じ込め作戦も検討する。
医療体制については、都道府県内の感染症指定医療機関などの病床が満床になるまでと、満床になった場合の2段階で対応する。満床になるまでは感染拡大を防ぐ観点から、都道府県が発熱のある患者を専用に受け入れる「発熱外来」を設置。新型インフルエンザ患者とその他の患者を振り分けて、医療施設内での2次感染を防ぐ。都道府県は地域医師会などと連携し数人の医療従事者がチーム体制を組んで診療を行い、患者の入院が必要かどうかを判断する。その後、感染症指定医療機関などで新型インフルエンザと診断された場合は、感染症法に基づく入院勧告を伴う入院措置を講じる。
満床になった後は、重症患者の治療に病床を有効活用する観点で対応する。患者はまず発熱外来を受診し、重症の場合は感染症指定医療機関などに入院し、軽症なら自宅療養してもらう。病床が重症患者で満床となった場合は、公共の研修施設や宿泊施設を活用する。
●ワクチン、薬投与に優先順位
ワクチンについては、新型インフルエンザに効果のあるパンデミックワクチンの供給が整うまで、プレパンデミックワクチンを医療従事者や社会機能維持者を優先して接種。パンデミックワクチンの接種も医療従事者や社会機能維持者を最優先し、その上で、医学的ハイリスク者を優先する案、子どもを優先する案など4通りの案を示した。
感染が拡大した場合、抗インフル薬は入院が必要な重症患者に優先投与。外来患者は<1>医療従事者、社会的機能維持者<2>医学的ハイリスク群<3>小児、高齢者<4>成人-の優先順とする。
【メディファクス】
by internalmedicine | 2007-01-23 17:00 | 感染症