ガイドラインのガイドライン

臨床ガイドラインというのが一人歩きして、それに書かれているのがすべて正しくて・・・というのは、司法が医者に罠をかけようとしている時勢でもあり、非常に危険である。もともとガイドラインというのはそれほど絶対視すべきものではなかったのだが、統制的に医療を行いたいという行政が“EBMに基づく”というふざけたキャンペーンによりガイドラインが医者の間でも神格化されつつある。

ガイドラインてのはその作成過程をみれば、そんなに、絶対視されるべき状況にない。
特に日本においては、政府・厚労省は金を出したがらず、スポンサーに頼る状況だったり、恣意的な利益を栄養とする一部の者や、自己主張の強い偏った意見にかき乱されてしまうのである。質の高い医療が必要と思うなら、金が必要・・・それにつきると思うのだが・・・表層的な考えしかできない馬鹿役人や政府はそれを無視し続け、一部のお方たちの利益だけに貢献しつづける・・・なんか建設・土木関係とにているなぁ・・・(独り言)


ガイドラインに対するガイドラインなる記事がNEJM誌に掲載された。

Guidance for Guidelines
N Engl J med Volume 356:331-333 January 25, 2007 Number 4
http://content.nejm.org/cgi/content/full/356/4/331

良いガイドラインとは妥当性、信頼性、再現性、臨床的応用性、明瞭性、集学的プロセスによるやり方、計画化されたレビュー、文書化を含む多くものが寄与してできたもの
Field MJ, Lohr KN, eds. Clinical practice guidelines: directions for a new program. Washington, DC: National Academy Press, 1990.


NGCでも2000超のガイドラインが現在存在し、その多くが医学界が多くのスポンサーとなっている。

・ガイドラインはそもそも絶対確実というものでもなく、臨床判断の代理になる存在でもない。ガイドラインはエビデンスと意見から成り立つからである。しかし、システミック・レビューより上位の存在し、特定の臨床的環境でなにをすべきか、すべきでないかを推奨している。一部にはひろくrespectを受けるものもあり、標準化ケアとされ、局所的なバリエーションを減少させ、臨床的アウトカムを改善するよう役立っているものもある。

・しかしながら、ガイドラインの質にばらつきがある。






ガイドラインへの議論
・推奨が少なすぎ、大きすぎという批判
 
1995年アメリカ下院で、AHCPRへの基金を有効的に終了する旨の投票があったとき、議員たちは、脊椎外科医たちのロビー活動により動いた。それは、急性腰痛症に関する政府スポンサーのガイドラインであり、その中身は手術治療反対に偏った見方のものでった。
現在、AHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)と呼ばれてるのがそれである。予算額が減少され、ガイドラインプログラムは終了した。1992-1996年の間に19のガイドラインを発行。その後、この分野のガイドラインの質は低下した。
RAND研究により、この問題のガイドラインが質的に低く、ガイドライン発展に重要なキーの部分を書くものであったことが明らかになった(Qual Saf Health Care 2003;12:428-434)。


・ガイドラインでも、定説と反するとか、特定の薬物やデバイスのカバーを保険財源を理由に拒否されるのである。

 ・1997年、NIHコンセンサス推奨委員会が40歳代女性のマンモグラフィールーチン推奨を引っ込めたときに委員長であるRichard Klausnerは激怒した
 ・最近では、Lyme病診断治療のガイドライン( Infectious Diseases Society of America)で保険会社が制限を強いてきていることが問題となっている。


・医薬品・医療機器に関して、ガイドライン委員が経済的にその会社とつながりがあり、疑念が生じている場合がある。
現在、ガイドライン委員と会社は経済的につながっている。
(日本のガイドラインなんて、国が金ださないから製薬会社持ちがほとんどじゃないか:<独り言>))

ガイドライン著者たちの685のステートメントを調査し、35%が関連会社との経済的つながりが判明している。かりに国家的に財源確保してガイドライン作成委員会を立ち上げても彼らが関連会社からの金銭などのつながりがないかの保証はできないのである。


2004年の“National Cholesterol Education Program”は成人の高血圧同定・評価・治療に関してアップデートしたものであるが、その委員会の委員のほとんどが、スタチンの製薬会社と広範な経済的つながりがあり、スタチン使用量増大により利益がころがりこむ製薬会社との関係があった
週刊誌ゴシップ関係各位殿 Michael Francis MooreがSickoを手がけるので、製薬会社の所行が問題になる年だと思う。そこで、日本のガイドライン策定委員の方々と製薬会社の経済的つながりの身元調査をしたら・・・
メタボリックシンドロームのいきさつにもこのNCEPには疑惑を感じている(特に小児・・・)


ガイドライン質改善及び不適切な影響を与える因子を最小限化する様々なアプローチがなされている。イギリスではNICE(www.nice.org.uk) がNHS内の適切な臨床ガイダンスとしてサービス開始、NICEは毎年5千万ドルの予算による独立した機関である。
2003-3006年まで39の臨床ガイドライン、多くのテクノロジー推奨やガイダンス書類が出版されている。NICEガイダンスにも議論がある。アルツハイマー病治療薬の制限を行っているのではないかとファイザーとエーザイが異議をのべている。
2004年のNICEステートメントでは、もし利害関係が判明したら、委員会から外れるか、その議題には関係しないことが述べられている。

経団連がらみの委員は、医療介護の政府委員から除かれるべきだと思うのだが、国策を司る委員会が経団連で、この国は、経団連から乗っ取られている(独り言)


アメリカでは、NIH Consensus Development Program (www.consensus.nih.gov)が1977年重要な医学文献におけるスポンサーとの関係評価をはじめ、現在、この評価はシステミックレビューやAHRQからの文書、研究提示を目的とする公的カンファレンスを含むようになり、その範囲も広がっている。
NIHの部門責任者Barry Kramerに従って公的カンファレンスは、プログラムに応じた陪審員・証人というシステムを用いている。委員会は経済的にも潜在的な関係もなく、NIHやHHSからも独立したメンバーで構成される。コンセンサスレポートはパネルの結論を反映したものであり、施設の代弁ではない。コンファレンスのスピーカーが会社と関連が深いことはあるが、その関係をdiscloseされていること。これほどしても、限界があり、発案から完成まで約18ヶ月を要し、それぞれの評価に約50万ドルの経費がかかる。年3-4会カンファレンスがひられる。
日本では誰かが草案をつくり(どこぞの教授が、その手下に仕事として与え、それをチラミして、あたかもその本人が書いたかのように)、1・2回の委員会で決定・・・というのは私の勘違いか?
官僚や政府のやりかたも同じだから、医療の世界を批判できないと思うが・・・

by internalmedicine | 2007-01-25 10:00 | 医療一般  

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